ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

●3●日米安全保障条約(抄)(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)〔1960(昭35). 6. 23発効〕第2条〔経済的協力〕締約国は,その自由な諸制度を強化することにより,これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより,並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて,平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は,その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め,また,両国の間の経済的協力を促進する。第3条〔自助及び相互援助〕締約国は,個別的に及び相互に協力して,継続的かつ効果的な自助及び相互援助により,武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を,憲法上の規定に従うことを条件として,維持し発展させる。第4条〔協議〕締約国は,この条約の実施に関して随時協議し,また,日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも,いずれか一方の締約国の要請により協議する。第5条〔共同防衛〕各締約国は,日本国の施政の下にある領域における,いずれか一方に対する武力攻撃が,自国の平和及び安全を危うくするものであるこ? 93第2節平和主義と日本の安全保障とを認め,自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。と前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべてのただ措置は,国際連合憲章第51条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は,安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは,終止しなければならない。第6条〔基地許与〕日本国の安全に寄与し,並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため,アメリカ合衆国は,その陸軍,空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。……第10条〔効力終了〕この条約は,日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認めるときまで効力を有する。もっとも,この条約が10年間効力を存続した後は,いずれの締約国も,他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ,その場合には,この条約は,そのような通告が行われた後1年で終了する。(『国際条約集』有斐閣)第1編現代の政治安保条約を読む自衛力増強義務(第3条)第3条は自助および相互援助による防衛力の維持,発展を義務づけたバンデンバーグ決議(1948年6月米上院)の趣旨を規定している。「憲法上の規定に従い」という留保があるから,日本の軍備拡張を無条件に約束したことにならないと解釈できるが,国内政策上の問題であるだけに,重大な負担を約束した点は問題とされる。共同防衛義務(第5条)第5条は,防衛義務を規定している。「日本の施政下の領域に限って」と変則的になっているのは,憲法第9条が海外派兵を禁止していると解釈されているため,自国の領域以外の地域を含める通常の共同防衛を約することが不可能だったからである。この条項については,極東地域での米軍の単独行動で戦闘行為が発生し,在日米軍が攻撃を受けた場合,日本に関係のない事件で日本が戦争にまきこまれるという危険性が指摘されている。基地の使用と極東の範囲(第6条)前条でみたように,米国は日本防衛の義務を負うが,日本は米国防衛の義務をもたない。この片務性を補うため,第6条で,米軍が日本の防衛のためだけでなく,「極東の平和と安全」のためにも日本の基地を使えることを規定した。ここで「極東の範囲」が問題となる。政府択捉島の統一解釈(1 9 6 0中国ほ年2月)は,「フィリぼ国後島明38度線ピン以北,ならびに歯舞色丹島確に韓国日本及びその周辺さ明れ日本確地域で韓国およびてにい馬祖島さ中華民国の支配下る沖縄れラてにある地域」としていイいン台湾るる。しかし,状況にラ金門島イよっては範囲がなしフィリピンン海南島崩し的に拡大する危極東の範囲険性があり,問題とされている。事前協議(条約第6条の実施に関する交換公文)事前協議の主題としては,「実施に関する交換公文」で1軍隊の配置の重要な変更2軍隊の装備における重要な変更3日本から行われる戦闘作戦行動のための基地の使用,の三つが定められている。この協議制度に対しては,上記の三つの事項が具体的に何をさすのか,また事前協議が事前の同意を意味するのか,日本側が拒否した場合に拘束力があるのか,などが問題点として指摘されている。