ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

●5●天皇の国事行為一覧第1節日本国憲法の制定●6●女性天皇は可能か??皇位継承? 83第6条第7条内閣総理大臣の任命←(国会の指名)最高裁判所長官の任命←(内閣の指名)(内閣の助言と承認により)1憲法改正,法律,政令および条約の公布2国会の召集3衆議院の解散4国会議員の総選挙の施行の公示5国務大臣その他官吏の任免,全権委任状や信任状の認証たいしゃ6大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除,復権の認証7栄典の授与ひじゅんしょ8批准書その他の外交文書の認証9外国の大使・公使の接受10儀式を行うこと天皇の公務は多岐にわたる。閣議後政府から回って来る文書を読み,署名や認,可,覧といった印をほうてい押す仕事は火曜,金曜に多い。大使の信任状捧呈はいえつきゅうちゅうばんさん式,各種の拝謁,宮中晩餐会や正式午餐会をこなし,各種ご進講を受け,行幸啓という地方へのお出ましがある。植樹祭さらには新年祝賀の儀など国事行為たる儀式,親任式,勲章親授式といった国事行為の一環としてその一部をなす儀式,認証官任命式,文化勲章伝達式などの国事行為に伴う儀式,新年一般参賀,講書始めの儀,歌会始の儀,天皇誕生日祝賀,皇后誕生日祝賀,園遊会など恒例となる儀式や行事が目白押しだ。はんちゅうこくひんさらに皇室外交の範疇に入るだろうか,国賓・公賓との交歓行事と外国訪問をこなし,数々の宮中さいしごりょう祭祀を果たす。歴代天皇の御陵参拝も欠かせない。お言葉の授与は皇居清掃の奉仕団に至るまでおよそ無数にあるうえ,国会開会式,新内閣発足時や大臣交代など突然起こる事態に対応しなければならない。(橋本明氏の文『新潮45』2004. 7)資料を読む国事行為と皇位継承天皇は政治的権能をもたず,単に形式的な国事行為のみを行うことになったが,その内容は多岐にわたる(5)。憲法は「皇位は世襲」(2条)と規定するのみで,詳細は皇室典範にゆだねられている。そこで,女性天皇を実現するためには皇室典範を改正するだけでいいが,そこには多くの問題がある(6)。天皇の責任が問われるような状況を再び生じさせてはならない(7)。皇室典範では,皇位継承者は「皇統に属する男系の男子」と定められ,女子に継承権はない。……あきしのしかし,皇室では9人女児誕生が続き,秋篠宮誕生以来40年間男子が産まれていなかったため,典範を改正して女性や母方にだけ天皇の血筋を引く女系の天皇も認めるべきだとの議論が起きた。欧州の王室では英国,オランダ,デンマークが女王で,スウェーデン,ノルウェー,ベルギーでは男女にかかわりなく長子が王位を継ぐ法改正を行った。日本でも過去には8人10代の女帝があり,男子継承に限定したのは明治時代の旧皇室典範から。このため,典範を改正して女子にも継承資格を認めるべきとの主張が活発化している。しかし,歴代女帝はいずれも男系の女子であり,男系男子への中継ぎ的役割にとどまり,男系主義が崩れたことは一度もない。男系女子が即位しても,皇族以外の男性との間に生まれた子は女系となり,男系「皇統」が途絶えることに変わりはない。また改正に伴い,多くの難問が出てくる。(1)現存の男子継承資格者との順位づけを男女平等とするのか,男子優先を残すのか,(2)女性天皇の配偶者の扱いをどうするのか,(3)結婚した女子も新宮家を起こし,皇族は大幅に増え続ける,(4)そのため,皇族の範囲を制限せねばならないが,どこでどう切るかも難問となる,などだ。(『知恵蔵』2007)●7●昭和天皇の戦争責任??政府見解昭和天皇の戦争責任の問題が14日(1989.2)のみむら参院内閣委員会で取り上げられ,味村内閣法制局長官は,国内法,国際法いずれの点からも「(純法律的には)昭和天皇に戦争責任はない」と明言した。法的な面に限ったものとはいえ,政府が昭和天皇の戦争責任はない,との見解を示したのはこれが初めて。飯田忠雄氏の質問に答えた。味村長官は「法的責任についてのみ申しあげる」ほと断ったうえで,まず「旧憲法下では国務大臣が輔ひつ弼して,一切の責任を負うとなっており,『天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス』の規定があった。その意味の一つとして天皇は無答責であるという解釈があり,このことについて争いはない」と述べた。そのうえで,「旧憲法下での行為について,後になって法的責任があるというわけにはいかないので,国内法的には昭和天皇の戦争責任はない」との見解を示した。(『朝日新聞』1989.2.15)第1編現代の政治