ブックタイトル資料政経
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高校政治経済資料集
第1節日本国憲法の制定? 792日本国憲法の制定●1●ポツダム宣言(抄)〔1945.7.26発表,1945.8.14受諾〕われら1〔戦争終結の機会〕吾等合衆国大統領,中華民国政府主席及びグレート・ブリテン国総理大臣は,吾等の数億の国民を代表し協議の上,日本国に対し,今次の戦争を終結するの機会を与ふることに意見一致せり。けっき3〔戦争継続の結果に対する警告〕蹶起せる世界の自かつ由なる人民の力に対するドイツ国の無益且無意義なるきわ抵抗の結果は,日本国国民に対する先例を極めて明白に示すものなり。……吾等の軍事力の最高度の使ふかひかつ用は,日本国軍隊の不可避且完全なる壊滅を意味すべく,又同様必然的に日本国本土の完全なる破壊を意味すべし。むふんべつ4〔日本国の選択肢〕無分別なる打算に依り日本帝国ふちおとしいわがままを滅亡の淵に陥れたる我儘なる軍国主義的助言者にとうぎょ依り日本国が引続き統御せらるべきか又は理性の経路ふを日本国が履むべきかを日本国が決定すべき時期は,とうらい到来せり。5〔戦争終結の条件〕吾等の条件は,左の如し。吾等りだつは,右条件より離脱することなかるべし。右に代る条件存在せず。……6〔軍国主義の除去〕吾等は,無責任なる軍国主義くちくまでが世界より駆逐せらるるに至る迄は,平和,安全及正義の新秩序が生じ得ざることを主張するものなるを以ぎまんきょて,日本国国民を欺瞞し之をして世界征服の挙に出かごづるの過誤を犯さしめたる者の権力及勢力は,永久にじょきょ除去せられざるべからず。すいこうはさい7〔日本の占領〕……日本国の戦争遂行能力が破砕せられたることの確証あるに至る迄は,連合国の指定すここべき日本国領域内の諸地点は,吾等の茲に指示するため基本的目的の達成を確保する為占領せらるべし。りこう8〔領土の制限〕カイロ宣言の条項は,履行またせらるべく,ならび又日本国の主権は,本州,北海道,九州及四国並きょくげんに吾等の決定する諸小島に局限せらるべし。9〔軍隊の武装解除〕日本国軍隊は,完全に武装を解除せられたる後各自の家庭に復帰し,平和的且生産いとな的の生活を営むの機会を得しめらるべし。10〔戦争犯罪人の処罰・民主主義の復活強化〕……▲ポツダム会談に臨む英米ソ3巨頭(左からチャーチル,トルーマン,スターリン。1945.7.26)ふ吾等の俘りょぎゃく虜を虐たい待せる者を含む一切の戦争犯罪人第1編しょばつに対しては厳重なる処罰を加へらるべし。日本国政府現は,日本国国民の間に於ける民主主義的傾向の復活代しょうがいじょきょの強化に対する一切の障礙を除去すべし。言論,宗教政及思想の自由並に基本的人権尊重は,確立せらるべし。治11〔軍需産業の禁止〕日本国は,其の経済を支持し,ばいしょう且公正なる実物賠償の取立を可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし。但し,日本国をして戦争の為再軍備を為すことを得しむるが如き産業は,かぎりあ此の限に在らず。……12〔占領軍の撤収〕前記諸目的が達成せられ且日本国国民の自由に表明せる意思に従ひ平和的傾向を有し且責任ある政府が樹立せらるるに於ては,連合国てっしゅうの占領軍は,直に日本国より撤収せらるべし。13〔即時無条件降伏の要求〕吾等は,日本国政府が直に全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し,且右行動つきに於ける同政府の誠意に付適当且充分なる保障を提供せんことを同政府に対し要求す。右以外の日本国のじんそく選択は,迅速且完全なる破壊あるのみとす。(小田・石本編『解説・条約集』三省堂)●2●ポツダム宣言受諾申し入れ……帝国政府は昭和20年7月26日米英支三国じご首脳により共同に決定発表せられ爾後ソ連邦政府の参加を見たる対本邦共同宣言に挙けられたる条件中には天皇の国家統治の大権を変更するの要求おを包含し居らさることの了解の下に帝国政府は右宣言を受諾す(1945.8.10発電)(『日本外交年表竝主要文書・下』原書房)資料を読むポツダム宣言受諾ポツダム宣言は,ドイツの無条件降伏(1945.5.7)後,ヨーロッパの戦後処理のため,45年7月ベルリン郊外のポツダムに会合した米英首脳が,中国主席の蒋介石(しょうかいせき)の同意を得て発表した,日本に対する降伏勧告宣言である。8月8日には,当時中立関係にあったソ連も,対日宣戦布告と同時にこの宣言に参加した。宣言は13項目からなり,第6項以下に日本の降伏の実質的条件を掲げている(1)。軍国主義勢力の除去,日本の占領,戦争犯罪人の処罰,日本の民主化などの諸原則が含まれている。これらは日本降伏の条件であると同時に,連合国の日本占領統治の原則であり,第8項の領土条項などは,のちに対日平和条約による最終処理の基礎となるものである。日本は,宣言が天皇制の変更を含まないという判断の下に,8月10日受諾を中立国を通じて連合国へ申し入れるよう訓電した(2)。