ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

52 ?第1章民主政治の基本原理●5●社会契約説の比較(ホッブズ,ロック,ルソー)ホッブズ(英)思Thomas Hobbes(1588~1679)想主著『リバイアサン』家ロック(英)John Locke(1632~1704)主著『市民政府論』ルソー(仏)Jean-Jacqes Rousseau(1712~78)主著『社会契約論』▼『リバイアサン』初版扉絵*第1編現代の政治自「人間は闘争と呼ばれる状態,各「自分が思うままに自分の所有物人の各人に対する闘争状態にあると身体を処理するような完全に自然……そして何よりも悪いことに,由の状態である。それはまた平等状絶えざる恐怖と暴力による死の危険がある。」態考社個々人は闘争の恐怖と平和への理え会性的判断によって,自然権を放棄方契して,社会契約を結んで自己保存約の安全のために国家をつくる。の国家の目的思想の影響成立した国家は絶対的主権をもつリバイアサン(怪物)であり,この国家の権威によって市民生活の平和と幸福が可能になる。人民が自然権を(主権者に)委譲して国家をつくった以上,国家権力に反抗することは許されないとして,結果的に絶対王政を擁護する役割を果たした。な状態であり,そこでは権力と支配権は互恵的であって,他人よりも多くもつ者は一人もいない。」個々人は相互に同意する暗黙の契約によって,自然権の一部を委託して国家をつくる。国家の目的は,人々の生命・財産・自由について自然権を擁護するところにある。至高の権力は人民にあり,政府はその受託者である。もし政府が自然権を侵害すれば,それに抵抗して,政府をかえてもよい(抵抗権・革命権)とし,後の名誉革命の正統性を論証した。「森の中をさまよい,生産技術もなく,……なんら仲間を必要ともしなければ,仲間を害しようとも少しも望まず,……自分一人で満足しながら,このような状態に適する情操と明知だけをもっていた」(『人間不平等起源論』)人民の一般意志(個々の利己心をすてた一体としての人民の意志のこと)こそ最高絶対の決定者で,個々人は自分のすべてを移譲して国家をつくる。人間は自然状態から社会状態にはいり,自然的不平等をこえて倫理的法律的平等を獲得し,自然的自由は社会的道徳的自由に転化する。契約の目的を,国家ではなく,個人を真に自由とする共同体とし,人民主権論を唱えた。その思想は王権神授説に大打撃を与え,フランス革命に大きな影響を与えた。「……人々が外敵の侵入から,あ「……人が自分の自然の自由を棄「各構成員の身体と財産を,共同るいは相互の権利侵害から身を守きはんて市民的社会の羇絆のもとにおかの力のすべてをあげて守り保護す原り,そして自らの労働と大地から得る収穫によって,自分自身を養れるようになる唯一の道は,他の人と結んで共同体を作ることに同るような結合の一形式を見出すこと。そうしてそれによって各人が,典い,快適な生活を送っていくことを可能にするのは,この公共的な意することによってである。…………立法権は,ある特定の目的のすべての人々と結びつきながら,しかも自分自身にしか服従せず,の権力である。この権力を確立する唯一の道は,すべての人の意思をために行動する信託的権力に過ぎない。立法権がその与えられた信以前と同じように自由であること--これこそ根本的な問題であり,引体に,かれらのもつあらゆる力とは変更し得る最高権が依然として家のもろもろの力を指導できるの用強さを譲り渡してしまうことであなお人民の手に残されているのでは一般意志(個々の利己心をすてる。……」ある。」た一体としての人民の意志)だけ(永井・宗片訳『リバイアサン』世界(鵜飼信成『市民政府論』岩波文庫)だということである,(桑原・前川の名著23,中央公論社)訳『社会契約論』岩波文庫)*無数の小人によって合成された巨人が,右手に剣,左手に聖職者の持つ牧杖(ぼくじょう)をもって,平和な都市を守っている。剣は世俗的(非宗教的)権力を,牧杖は宗教的権力を象徴しており,それぞれの下に五つずつその権力手段が描かれていて,聖俗の権力手段を独占した主権国家のみが,平和を実現し,国民に保護を与えうることを示している。