ブックタイトル資料政経
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高校政治経済資料集
30 ?――政治・経済便覧しん臣みん民第2章にっぽんしんみんようけんさだところよ第18条日本臣民タルノ要件ハ法律ノ定ムル所ニ依おうルひとしにん第19条日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任そつうセラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得したがへいえきゆう第20条日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス第21条日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有スおいおよびいてんゆう第22条日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ居住及移転ノ自由ヲ有よあらたいほかんきんス第23条日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ第24条日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルルコトナシのぞほかそ第25条日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ及捜索セラルルコトナシのぞほかおか第26条日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ侵サルルコトナシそ第27条1日本臣民ハ其ノ所有権ヲ侵サルルコトナシため2公益ノ為必要ナル処分ハ法律ノ定ムル所ニ依ルあんねいさまたおよびそむかぎり第28条日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有スおいいんこうおよび第29条日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲゆう有スけいれいべつしたがな第30条日本臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ従ヒ請願ヲ為うスコトヲ得かかまたじへんおい第31条本章ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変ノ場合ニ於テ天皇大権ノさまた施行ヲ妨クルコトナシかかまたていしょく第32条本章ニ掲ケタル条規ハ陸海軍ノ法令又ハ紀律ニ牴触じゅんこうセサルモノニ限リ軍人ニ準行スけん権り利ぎ義む務用語解説第18条日本臣民タルノ要件日本臣民(国民)の資格をもつ要件(国籍)をいう。天皇,皇族は含まない。第20条兵役ノ義務軍務に服することで,憲法上の義務であった。具体的には,兵役法により,兵役に服する者の条件が定められていた。第23条審問事実を明らかにするために,特定の行為について,原因や状況をたずねること。第31条天皇大権天皇の権能で,帝国議会の関与を得ないで行使できる権限。たとえば,皇室大権,統帥大権,国務大権など。憲法を読む・3臣民の権利と法律の留保(第2章)ドイツのプロイセン憲法をモデルとした明治憲法は,ヨーロッパ諸国の近代憲法にならって,市民的自由権を保障する規定をおいた。幕藩体制(封建制度)の時代に市民的自由や平等が存在しなかったのに比べれば,大きな進歩であったが,明治憲法は天皇主権の統治原理のもとで天皇絶対の政治体制をとっていたので,自然法思想に基づく人権を認める余地はなかった。まず,権利の保障は,「天皇からの恩恵」によって与えられた「臣民の権利」であって,近代革命の成果としてんぷての「天賦の人権」ではなかった。次に,権利の根拠が天皇主権に基づいていたため,人身の自由をはじめとする各種の自由権の保障範囲も,日本国憲法に遠く及ばなかった。また,生存権・勤労権などの社会権的規定は予想すらされていなかった。明治憲法における「自由権」の解釈について,当時の代表的な憲法学者の説明に,自由権は「天賦の人権」などではなく,「法律以上ニ自由権ナシ,法律以外ニ自由権ナシ,自由権ハ即チ法律ノ下ニ存立スルモノナリ」(穂ほづみや積つか八束『憲法提要』)とされている。このことは,憲法が保障する権利が制限的であり,限定された範囲でしか与えられていなかったことを意味する。したがって,明治憲法が保障していた権利の大りゅうほ部分が「法律の留保」(独,Gesetzesvorbehalt)の下におかれ,法律に基づくかぎり,個人の自由・権利に対して必要な制限を加えることができるとされていた。たとえば,1居住移転の自由(第22条)や,言論・集会・結社の自由(第29条)は,「法律ノ範囲内」で許されているものであったし,2住居の不可侵(第25条)や信書の秘密(第26条)も,「法律ニ定メタル場合ヲ除ほかク外」においてのみ認められるものであった。とくに,言論・集会・結社の自由は,政治のあり方を批判したり,社会制度の改革(国体の変革)を主張するような場合には,治安警察法(1900年制定)や治安維持法(1925年制定)などの治安立法によってきびしく弾圧された。さらに,国家非常の場合には,憲法さまたが保障する自由・権利も「天皇大権ノ施行ヲ妨クルコトナシ」とされ,憲法の「第2章臣民権利義務」の規定の全部または一部を停止することができるとされていた(第31条・非常大権という)。