ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

26 ?――政治・経済便覧第8章地方自治〔地方自治の基本原則〕第92条地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治のほんし本旨に基いて,法律でこれを定める。〔地方公共団体の機関,その直接選挙〕第93条1地方公共団体には,法律の定めるところにより,その議事機関として議会を設置する。2地方公共団体の長,その議会の議員及び法律の定めるその他のりいん吏員は,その地方公共団体の住民が,直接これを選挙する。けんのう〔地方公共団体の権能〕第94条地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。〔特別法の住民投票〕第95条一の地方公共団体のみに適用される特別法は,法律の定めるところにより,その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ,国会は,これを制定することができない。第9章改正〔憲法改正の手続,その公布〕第96条1この憲法の改正は,各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には,特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において,その過半数の賛成を必要とする。へ2憲法改正について前項の承認を経たときは,天皇は,国民の名で,ただこの憲法と一体を成すものとして,直ちにこれを公布する。用語解説第92条地方公共団体地方自治の主体となる団体のことで,普通地方公共団体(都道府県,市町村)と特別地方公共団体(特別区・地方公共団体の組合・地方開発事業団・財産区)とからなる。第94条条例地方公共団体がその管理する事務に関して法律の範囲内で制定できる自主的な法規。第95条特別法特別の人・事物・行為または地域に限り適用される法。本条の特別法を地方自治特別法といい,たとえば,広島平和記念都市建設法(昭24),長崎国際文化都市建設法(昭24),京都国際文化観光都市建設法(昭和25)などがある。なお,これはその地方公共団体そのものの組織や運営,権能に関する法律であって,その地域に関する法律をいうのではない。たとえば北海道開発法は,国の事務としての北海道の開発を定める法律であるから,地方自治特別法ではない。憲法を読む・31憲法を読む・32地方自治の本旨(第92条)地方自治について明治憲法には明文の規定はなく,市制,町村制,府県制などで定められていたにすぎなかんりかった。しかも,府県知事は内務省の官吏が天皇によっかんせんて任命される官選知事であり,その府県において国のないむ事務を執行する機関として内務大臣の指揮監督を受け,また市町村長も知事と内務大臣との強力な監督を受けるという中央集権的色彩の濃いものであった。これに対して,日本国憲法は,特に第8章に地方自治の章を設け,第92条において「地方公共団体の組ほんし織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づく」という基本原則を定めた。「地方自治の本旨」には,団体自治と住民自治の二つの要素がある。団体自治は,一定の地域を基礎とした団体が,国から一応独立して,地方の事務をその団体自身の機関によって処理することをいい,権力分立原理ひいては自由主義原理に基づく。また,住民自治は,地方の行政が住民自らの意思に基づいて行われることをいい,民主主義原理に基づく。憲法の改正(第96条)憲法も社会規範である以上,社会が変化すればそれとともに変化するのは当然とも言い得るが,憲法は国の基本法として,法的安定性が他の法規範より強力に要請される。そこで各国憲法とも憲法改正手続きを定め,憲法改正を行い得るようにしている。しかし,法的安定性を確保するために,一般の法律よりも改正手続きが困難であることが一般的であり,日本国憲法も国会が「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」で発議し,さらに国民投票で過半数による承認を必要とするという典型的な硬性憲法である。なお,憲法改正は法理論上どのような改正も可能かについて,憲法を特色づける基本原理(国民主権,平和主義,基本的人権の尊重)は憲法制定権力の所産であって,その改正は憲法によって作られた憲法改正権によっては不可能であり,その変更は新憲法の制定にほかならないという限界説と,改正規定によればどのような改正も許されるとする無限界説の対立がある。