ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

1.広がる子どもの貧困1子どもの貧困率16.3%子どもの貧困が広がっている。「子どもの貧困率」の2012年の16.3%は,厚生労働省の調査が始まった1985年以降最悪の数字である。「子どもの貧困率」とは,可処分所得(手取り収入)の中央値の半分以下で暮らす18歳未満の子どもの割合をいう。調査年(2012年)の中央値の所得は年244万円で,その半分に満たない世帯の子どもが6人に1人いることになる。40人学級のうち,6?7人の子どもが貧困状態ということである。背景には,非正規雇用や一人親家庭の増加など,親の就労や生活環境の影響があるとされるが,そうした子どもたちは,進学ができない,病気になっても医療費が払えないといった生活環境に置かれている。●子どもの貧困率20(%)16.3151010.913.7019858891 94 97 2000 03 060912年(「平成25年国民生活基礎調査」厚生労働省)●子どもがいる現役世帯の貧困率70140(%)63.158.7(万円)60130123 13054.6120(5050.1実40117110質111、30大人が1人世帯(左)100年大人が2人世帯(左))20貧困線(右)9012.41010.810.810.58001991 9497 2000 0306097012年(「平成25年国民生活基礎調査」厚生労働省)〈データを読む〉「貧困線」は可処分所得の中央値の半分の額をいう。貧困線は1997年の130万円から下がり続けているため,子どもの貧困率の上昇は数字上よりも深刻である。2015/巻頭特集──22子どものいる貧困家庭の食生活の実態調査子どものいる貧困家庭への支援に取り組む山梨県のNPO団体が,とくにその食生活の実態に注目して行った調査(対象264世帯)によれば,貧困状態にある家庭の子どもの食生活の状況は下の表のとおりである。こうした調査からは,当該家庭の子どもたちが,一日の栄養を学校給食に頼っている現状が浮かび上がり,給食のない夏休みが明けると体重の減っている子どもがいるという現実が報告されている。貧困が,子どもの発育や健康に深刻な影響を与えていることがわかる。(1)1日の「1人1日あたりの食費」はいくらか?→平均は329円(その半分に満たない家庭が半数近い)(2)1日に何回「バランスのとれた食事」を摂っているか?→0回86%1回13%2回1%(注)ここで「バランスのとれた食事」とは主食・主菜・副菜がそろった食事を意味し,そうでない食事とは,米やラーメンだけの食事をいう。(NHKクローズアップ現代2014. 9. 25より)3国はどう取り組んでいるか?国は,2014年1月に「子どもの貧困対策推進法」を施行し,問題に取り組み始めた。この法律は,政府には子どもの貧困対策を総合的に推進するため,子どもの貧困対策に関する大綱の制定義務を,都道府県には子どもの貧困対策計画策定努力義務を課しているが,抜本的な解決にはほど遠いのが現状である。「貧困」と定義づけられる「平均年収の半分」は生活保護の支給対象の水準とほぼ重なる。しかし,生活保護を受けるためのさまざまな条件が申請をしにくくしている現状があるため,子どものいる貧困家庭のうち,実際に生活保護を受けているのは,その2割だけという推計がある。結局こうした家庭への国の経済支援は児童扶養手当となるが,上記の「対策推進法」はその増額さえ盛り込んでいない。