ブックタイトル資料政経

ページ
27/162

このページは siryouseikei2015 の電子ブックに掲載されている27ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

高校政治経済資料集

第5章内〔行政権と内閣〕第65条行政権は,内閣に属する。〔内閣の組織,国務大臣の文民資格,国会に対する連帯責任〕しゅちょう第66条1内閣は,法律の定めるところにより,その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。2内閣総理大臣その他の国務大臣は,文民でなければならない。3内閣は,行政権の行使について,国会に対し連帯して責任を負ふ。〔内閣総理大臣の指名,衆議院の優越〕第67条1内閣総理大臣は,国会議員の中から国会の議決で,これを指名する。この指名は,他のすべての案件に先だつて,これを行ふ。2衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に,法律の定めるところにより,両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき,又は衆議院が指名の議決をした後,国会休会中の期間を除いて10日以内に,参議院が,指名の議決をしないときは,衆議院の議決を国会の議決とする。ひめん〔国務大臣の任命及び罷免〕第68条1内閣総理大臣は,国務大臣を任命する。但し,その過半数は,国会議員の中から選ばれなければならない。2内閣総理大臣は,任意に国務大臣を罷免することができる。閣政治・経済便覧――用語解説第66条? 21首長組織・団体の長のこと。ここでは内閣総理大臣の地位を表す。内閣を代表し,閣議を主宰する。旧憲法時代には,各大臣の「首班」という語が用いられていた。文民日本国憲法で新しくつくられた語で,軍人でない者をいう。連帯して責任内閣(総理大臣と国務大臣で組織される合議体)が一体となって国会に対して負う責任のこと。たとえば,天皇の国事行為に対して,「助言と承認」を行ない,その責任を負う場合がこれに当る。議院内閣制の特色を表す用語。憲法を読む・24議院内閣制(第66,67,68,69条)議院内閣制は,イギリスで始まり,議会(特に下院)の信任を内閣の存立と存続の要件とする制度である。明治憲法では,行政権は天皇にあり,天皇の行政権ほひつを輔弼することだけが国務各大臣の任務とされた。内閣は憲法上の機関ではなく,1889(明治22)年の内ちょくれい閣官制という勅令において規定されていたにすぎず,内閣総理大臣も国務大臣も天皇によって任命され,天皇に対して責任を負い,議会とは無関係に存立し得た。そのために明治から大正にかけて議会とは無関係にちょうぜん存立するいわゆる超然内閣が存在した。また,大正きばん中頃から議会の多数党を基盤とする政党内閣が「憲政じょうどうの常道」の名の下に慣行として出現したこともあったが,ぜいじゃく政党の社会的基盤が脆弱であったため1932(昭和7)年の五・一五事件以降,政党内閣は姿を消した。日本国憲法は,議院内閣制を採用し,第65条で「行政権は,内閣に属する」と内閣総理大臣と国務大臣のごうぎたい合議体である内閣が行政権の主体であることを明示し,第67条で内閣総理大臣が国会議員の中から国会によって指名され,第68条で国務大臣の過半数も国会議員でなければならず,そして第66条で「内閣は,行政権の行使について,国会に対し連帯して責任を負ふ」と規定した。さらに第69条で衆議院が内閣不信任決議権を有することを定め,衆議院で不信任の決議案が可決され,または信任の決議案が否決され,10日以内に衆議院の解散が行われない場合には,内閣は総辞職しなければならないと定めている。憲法を読む・25首長たる内閣総理大臣(第66条)憲法第66条は「内閣は…その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」と定める。明治憲法時代,内閣総理大臣は憲法上の機関ではしゅはんなく,内閣官制によって,「各大臣の首班」として,内閣の統一をはかり,それを代表する地位が認められていたが,他の国務大臣との関係は,憲法上,内閣総理大臣も国務各大臣の一員であり他の国務大臣と同格どうはいしゅせきで「同輩中の首席」にすぎなかった。これに対して日本国憲法では,内閣総理大臣は「内閣の首長」とされ,他の国務大臣の上位にあり,内閣しゅさいを組織し,主宰し,代表する強い地位と権限が認められた。内閣は合議制の機関であり,閣議では発言権は対等であり,内閣総理大臣は他の国務大臣に対して命令権を持つわけではないが,憲法は,たとえば,国務ひめん大臣の任命権及び任意の罷免権(第68条),国務大そつい臣の訴追に対する同意権(第75条),内閣の代表としての地位,行政各部の指揮監督権(第72条)などの強い地位・権限を内閣総理大臣に認めて,内閣の統一じつ性をはかり,内閣の連帯責任の実をあげようとしている。