ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

16 ?――政治・経済便覧ざんぎゃくごうもん〔拷問及び残虐刑の禁止〕第36条公務員による拷問及び残虐な刑罰は,絶対にこれを禁ずる。ひこく〔刑事被告人の諸権利〕第37条1すべて刑事事件においては,被告人は,公平な裁判所じんそくの迅速な公開裁判を受ける権利を有する。しんもん2刑事被告人は,すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ,又,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。3刑事被告人は,いかなる場合にも,資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは,国でこれを附する。きょうじゅつ〔自己に不利益な供述の不強要,自白の証拠能力〕きょうよう第38条1何人も,自己に不利益な供述を強要ごうもんもきょうはくされない。よくりゅうこう2強制,拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘きん禁された後の自白は,これを証拠とすることができない。ゆいいつ3何人も,自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には,有罪とされ,又は刑罰を科せられない。そきゅういちじふさいり〔遡及処罰の禁止・一事不再理〕すで第39条何人も,実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については,刑事上の責任を問はれない。又,同一の犯罪について,重ねて刑事上の責任を問はれない。〔刑事補償〕よくりゅうこうきん第40条何人も,抑留又は拘禁された後,無罪の裁判を受けたときは,法律の定めるところにより,国にその補償を求めることができる。用語解説第36条拷問被疑者または刑事被告人に自白させる目的で暴行を加えること。残虐な刑罰不必要な精神的,肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰のこと。たとえば火あぶり,はりつけなど。第37条刑事事件刑法が適用され処罰されるべき事件。審問事情を明らかにするためにたずねること。第38条じんもん供述尋問に応えて事実や意見を申し立てること。自白自己の犯罪事実を肯定する意思表示。自白は強制されず,任意に行われなければならない。第39条溯及さかのぼること。一事不再理一度判決が確定した事件については,再び公訴を起こすことができないという刑事訴訟法上の原則。憲法を読む・17憲法を読む・18拷問及び残虐刑の禁止(第36条)刑事補償請求権(第40条)じはくきょうよう拷問とは,被疑者または被告人に自白を強要するたこれは,明治憲法には規定がなかったが,1931(昭めに肉体的苦痛を与えることである。日本でも,1879(明和6)年に刑事補償法が制定され,国家の恩恵としてこう治12)年以来廃止され,刑法でも拷問を犯罪として処国民に与えられていた。これに対して日本国憲法では衡へい罰の対象としてきた。しかし,実際にはしばしば行われ,平の理念に基づき国民の権利として認められた。けんぎ暴行による被害者を出したことは事実であり,そのため犯罪の嫌疑があるとして逮捕され,抑留・拘禁され,第36条は拷問を「絶対に」禁じたのである。その後裁判の結果無罪が確定したとき,その間の財産へんちょう拷問は,自白が証拠として偏重されることから起こる。的,精神的損失について,国に対して補償を求めるこもくひけんこそこで憲法第38条で黙秘権を保障するとともに,強制,とのできる権利である。この場合,その刑事手続が故きょうはくいかしつ拷問もしくは脅迫による自白,不当に長く拘束されたあ意又は過失によって行われた場合のみならず,適法にとの自白は,任意性がなく,証拠とすることができないと規定した。また,残虐な刑罰とは,不必要な精神的,肉体的ざんこく苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰のことである。死刑が「残虐な刑罰」であるか否か見解の相違がある。最高裁は,憲法第31条には,法律の定めるうば適正な手続によって,生命を奪う刑罰を科せられることが明らかに定められている,として合憲とし,ただその執行の方法などが残虐性を有すると認められる場合にこうしゅけいは残虐な刑罰であるが,現行の絞首刑は残虐な刑罰ではないとの判断を示している。行われた場合でも国は補償する責任を負う。なお,警察官や検察官などに不法行為があった場合には,第17条の損害賠償を請求できる(国家賠償請求権)。ただ,損害賠償請求では不法行為の挙証責任が被害者にあるのに対し,刑事補償は抑留または拘禁の後裁判で無罪が確定するという事実によって請求することができる。また,抑留または拘禁後不起訴となった場合,第40条の直接の適用はないが,その精神に基づいて行われるべきであるとして,1957(昭和32)年に法務省訓令として被疑者補償規程が施行された。