ブックタイトル資料政経
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高校政治経済資料集
〔法定手続の保障〕も第31条何人も,法律の定める手続によらなければ,その生命若うばかしくは自由を奪はれ,又はその他の刑罰を科せられない。〔裁判を受ける権利〕うば第32条何人も,裁判所において裁判を受ける権利を奪たいほはれない。〔逮捕の要件〕げんこうはん第33条何人も,現行犯として逮捕される場合を除いては,権限を有しほうかんけんかれいじょうする司法官憲が発し,且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ,逮捕されない。よくりゅうこうきん〔抑留・拘禁の要件・不法拘禁に対する保障〕ただか第34条何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない。又,何人も,正当な理由がなければ,拘禁されず,要求があれば,その理由は,直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。〔住居の不可侵〕しょじ第35条1何人も,その住居,書類及び所持品について,侵入,そうさくおうしゅう捜索及び押収を受けることのない権利は,第33条の場合を除いては,正当な理由に基いて発せられ,且つ捜索する場所及び押収する物をおか明示する令状がなければ,侵されない。2捜索又は押収は,権限を有する司法官憲が発する各別の令状により,これを行ふ。憲法を読む・15法定手続の保障(第31条)第31条は法定手続の保障を定めている。刑罰を科あらかじすための手続は予め法律によって明示されていなければならず,そのための刑事手続は刑事訴訟法で定められている。この規定はアメリカ合衆国憲法修正第5条の「法の適正な手続(due process of law)」の規定を受け継いだものであると考えられ,第31条には「適正」の言葉がないが,やはり「適正」な刑事手続が要請されると解されている。なお人身保護法は「法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている者は,この法律の定めるところにより,その救済を請求することができる」(第2条)と定めている。第31条はまた罪刑法定主義の規定であるといわれる。罪刑法定主義は「法律なければ犯罪なし,法律なけれほうげんば刑罰なし」という法諺が示すように,どのような行為が犯罪となり,かつそれにどのような刑罰が科されるかは,あらかじめ成文法によって明示されていなければならないという原則である。これは1215年の「マグナ・カルタ」で規定されたのを初めとして,1789年のフランス人権宣言第8条にも規定されて近代刑法の基本原理とされるに至り,明治憲法第23条にも規定されていた。憲法はさらに,第39条で「何人も,実行の時に適法であった行為……については,刑事上の責任を問われない」と遡そきゅう及政治・経済便覧――? 15第33条司法官憲司法権の行使に関与する公務員。憲法33条でいう,令状を発する権限を有する者は,裁判官に限られる。令状裁判官が逮捕・捜索・押収などの強制処分を行うときにだす命令。強制処分の適否を裁判所に判断させて人権を守ることを目的にしている。第34条抑留一時的に身体の自由を拘束すること。逮捕後の留置などをいう。拘禁留置場・拘置所・刑務所などに留置し,継続的に身体の自由を拘束すること。第35条押収裁判官が,証拠物件などを差し押さえてとりあげること。処罰の禁止(事後法の禁止)を定めるが,これは罪刑法定主義の当然の結果である。なお,この遡及処罰の禁止は人々の生活の安全を確保するためのものであるから,刑罰法規の廃止によって刑罰それ自りょうけい体が無くなったり,また改正によって法定刑の量刑が軽減された場合,その軽いものを適用するという刑法第6条の規定は,被告人に利益を与えるものなので,本条とは無関係である。憲法を読む・16用語解説令状主義(第33,35条)逮捕とは実力によって身体の自由を拘束することであしほうかんけんるが,逮捕には権限を有する司法官憲すなわち裁判官が発する令状を必要とする。これを令状主義という。こらんようれは検察官や警察官による逮捕権の濫用を抑止しようとするもので,刑訴法199条2項は,裁判官は明らかに逮捕の必要がないと認めるときは逮捕状を発しないと規定している。なお,憲法は現行犯を令状主義の例外と定めているが,重罪を犯したと疑うに足る充分な理由よゆうがあり令状を求める余裕がない場合は,令状がなくても逮捕できるとされている(緊急逮捕)。そうさくさらに第35条は,住居などを捜索し,また人の所持おうしゅう品を押収しようとする場合も,権限を有する司法官憲すなわち裁判官の発し,捜索する場所そして押収する物を明示する各別の令状を必要とする,と規定している。