ブックタイトル資料政経

ページ
17/162

このページは siryouseikei2015 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

高校政治経済資料集

第3章国民の権利及び義務〔国民の要件〕第10条日本国民たる要件は,法律でこれを定める。〔基本的人権の享有・基本的人権の永久不可侵性〕きょうゆうさまた第11条国民は,すべての基本的人権の享有を妨おかげられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は,侵すことのできない永久の権あた利として,現在及び将来の国民に与らんようへられる。〔自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止〕第12条この憲法が国民に保障する自由及び権利は,国民の不断の努力によつて,これを保持しなければならない。又,国民は,これを濫用してはならないのであつて,常に公共の福祉のためにこれを利お用する責任を負ふ。〔個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉〕第13条すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。もとえいてん〔法の下の平等,貴族の禁止,栄典〕第14条1すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,もんち性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。かぞく2華族その他の貴族の制度は,これを認めない。くんしょうじゅよともな3栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。政治・経済便覧――用語解説第10条? 11日本国民たる要件国籍法によって,日本国民としての資格を取得したり,失ったりすること。第11条享有権利・能力などを生まれながらにもっていること。第12条濫用みだりに使うこと。第14条信条宗教的信仰,政治的信念,世界観などをいう。いえがら門地家柄。誰の子として生まれたかによって当然に生ずる地位。華族明治憲法下で,天皇からしゃく授与された爵を有する者(公・侯・伯・子・男の5階級)およびその家族。現在は廃止。こうろうしゃ栄典国家の功労者を名誉づける特殊地位。明治憲法時代,爵・ほうしょう位・勲章・褒章があった。現在,じょくん文化勲章と叙勲,各種褒章などがある。なお,国民栄誉賞や名誉市民などもここにいう栄典である。憲法を読む・6公共の福祉(第12条)明治憲法で権利は「法律の留保」を伴い法律によって制限され得たのに対し,日本国憲法は,権利を,国みだ家によって濫りに制限することのできない基本的人権と位置付けている。しかし,社会的生活を人間の本質とする以上,その権利も社会生活においてある程度の制まぬが約は免れない。そこで第12条は,権利の濫用を禁止し,公共の福祉のために利用すべきことを規定する。公共の福祉とは個人の利益を超えた社会共同生活の利益を意味するが,憲法はその内容について定めていない。そこで,何が公共の福祉であるか明確ではなく,公共の福祉の名で人権が不当に侵害される恐れもある。わが国では裁判所に違憲法令審査権が認められている。もし人権を不当に侵害する法令が制定された場合には,違憲判決が行われ,その法令は無効となる。憲法を読む・7個人の尊重・幸福追求の権利(第13条)「すべて国民は,個人として尊重される」とは,個人主義の原理を表明した規定である。個人主義とは,社会生活の中で個人に最高の価値をおく考え方で,他人りこぎせいを無視し自己に最高価値をおく利己主義や個人を犠牲にして全体の利益を主張する全体主義と対立する。また,「生命,自由,幸福追求」という言葉は,一般的にさ憲法で規定された基本的人権を指す。なお,憲法で個別的に規定された権利以外にも,個人の尊重の原理からみて基本的人権と見るべき権利は幸福追求の権利にしょうぞう含まれるとされ,京都市公安条例事件で最高裁は肖像うたげ権を,『宴のあと』事件(? p.142)で東京地裁はプライバシーの権利を本条から導き出した。憲法を読む・8法の下の平等(第14条)国家によって国民が不当に差別されないという法の下の平等の権利は,自由権とともに人間の基本的権利である。これは単に法令が平等に適用されるだけでなく,法律そのものが平等な内容を持つべきことを意味する。また,第1項が規定する「人種,信条,性別,社会的身分又は門地」とは不合理な差別の例を示した例示であり,これら以外でも差別は許されない。最高裁は,じゅうばつ尊属殺人重罰規定や衆議院議員定数配分規定などを平等原則に反するとして違憲判決を下した。(? p.175)