ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

第1編現代の政治152 ?第2章日本国憲法の基本的性格1憲法改正の規定●1●憲法改正手続き〔衆議院〕〔参議院〕2/3以上2/3以上改正憲法案提出内閣提出議員提案(国国議決民民に投提(票両衆案議院)院対なの等し優)越法改公正布憲●2●硬性憲法と軟性憲法国民過半数承認(改正憲法成立)天皇●関連憲法条文第96条〔憲法改正の手続,その公布〕1この憲法の改正は,各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会が,これを発議し,へ国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には,特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において,その過半数の賛成を必要とする。2憲法改正について前項の承認を経たときは,天皇は,国民の名で,この憲法と一体ただを成すものとして,直ちにこれを公布する。憲法改正の手続きを定めているのが96条。衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成で,国会が発議し,国民投票で過半数の賛成を得て初めて改正が実現する。自民党は96条を改正し,国会の発議かんわ要件を3分の2以上から過半数に緩和しようとしている。「世界的に見ても,改正しにくい憲法になっている」。自民党はホームページ上の「憲法改正草案Q&A」で,日本の憲法の特徴をこう解説。諸外国きびに比べ,改憲のための要件が特に厳しいと指摘している。ゆるだが,日本と比べ,諸外国の改憲要件が緩いというのは,本当なのか。明治大法科大学院の辻村みよ子教授(憲法学)は,「日本の改正手続きは国会だけでなく国民投票へを経なければならない点で厳格とはいえるが,各国と比べて格別に厳しいわけでもない。むしろ圧倒的多数の国では,日本より厳格な手続きを定めている」と指摘する。例えば,米国では上下両院の出席議員の3分の2以上の賛成で改憲を発議。全50州のうち4分の3以上の州議会で承認される必要があり,ハードルは決して低くない。ドイツでは連邦議会,連邦参議院のそれぞれ3分の2以上の賛成が必要。フランスは両院の過半数に加え,両院合同会議の5分の3以上の承認がいる。一院制の韓国では,国会の3分の2以上の資料を読む改正に重い要件通常の法律の改正手続が衆参両院のそれぞれの総議員の三分の一以上の出席で,出席議員の過半数の議決で成立するのに対し,憲法改正手続は両院のそれぞれ三分の二以上の賛成で国会が発議賛成を経た上で,国民投票も実施される。議会の議決要件こそ過半数で構わない国もあるが,二度の議決に加えて国民投票を経るデンマーク,州議会の承認も必要なカナダなど,いずれも改正は容易でない。改正に厳しい条件を付けている国が大多数で,これを「硬性憲法」と呼ぶ。対して,通常の法改正と区別しないのが「軟性憲法」で,そういう国は,成文憲法を持たない英国やニュージーランドなどごくわずかだ。自民党は,「世界の国々は,時代の要請に即した形で憲法を改正しているが,日本は戦後一度として改正していない」として,諸外国では,何度も改正された実績があることも強調している。確かに,各国が憲法改正をした回数を見ると,戦後だけでも米国が6回,フランスが27回,ドイツは59回にも上っている。これには,各国の事情がある。辻村氏は「改憲の回数が多い国では,憲法が通常の法律のように細かい点まで規定しているため」と説明する。「ドイツでは欧州連合(EC)統合に伴う改正など,外的環境の変化による必然的なものだった。フランスも同様のケースのほか,大統領の選挙制度や任とうち期短縮といった統治機構の改革に関する事例だった」。ただ,両国の憲法とも,国の基本原理に抵触する改正は許さないように歯止めをかける条文があるという。(『東京新聞』2013. 4. 13)し,さらに国民投票で過半数の同意が必要とされる(硬性憲法)。世界の多くの国でも日本国憲法のように,憲法改正には高いハードルを設けている(?・?)。