ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

第5節新しい人権? 149事例研究知る権利け特定秘密保護法──「知る権利」に懸北朝鮮の核開発や中国の軍備増強など厳しさを増す安全保障環境の中で,スパイ活動防止法すら持たない日本が,アメリカなど同盟国との軍事・テロ情報などの交換や共有のために法整備を要請され制定したのが特定秘密保護法だ。防衛・外交などの「特定秘密」を漏らおびやした公務員らを厳罰に処す同法は,内容にあいまいな部分が多い上,国民の知る権利を脅かしかねない問題点をかかえているが2014年12月に施行された。基準も範囲もあいまい特定秘密保護法は防衛,外交,スパイ活動の防止,テロの防止の4分野のうち,「国の安全保障に著しい支障を与える恐れのある情報」を大臣などのろうえい行政機関の長が特定秘密に指定し,秘密を漏洩ちょうえきけいした公務員らに最高10年の懲役刑を科す。特定秘密の指定期間は5年だが,満了時に5年単位で延長できる。内閣の承認があれば30年を超えても更新できる。さらに,暗号や人的情報源に関する情報などは60年を超えても指定の継続が認められため,国民の目に触れないまま永久に封印される恐れがある。また,特定秘密の対象となるものの範囲が広すぎ,かつあいまいである。条文には,「その他」という表現が36ヵ所も使われていて,秘密の範囲などを官僚の裁量で拡大解釈する根拠になりかねない。第三者による監視機関政府の意のままに特定秘密が指定され,都合が悪い情報が隠されることを防ぐには,客観的に判断する第三者による監視機関の設置が最低限必要である。しかし,この法律にそのような仕組みはない。政府は参議院での審議の中で突然,内閣に「情報保全監察室」を作ると言い出したが,官僚を集めて作る監察室では身内の行政機関を客観的に監視できるはずがなく第三者機関とは言えないし,しかも単なる「口約束」でしかない。「知る権利」を脅かす成立した特定秘密保護法では,特定秘密を漏らす行為のみならず,知ろうとする行為も処罰の対象となる。そのため,取材・報道の自由が阻害され,国民の知る権利を制限する恐れがある。公務員でも民間人でも特定秘密を漏らした人には,最高で懲役10年および1千万円以下の罰金が科せられるいしゅくことにより,公務員が萎縮して,本来は隠す必要のこばない情報まで提供を拒み,国民の知る権利を脅かす懸念も指摘される。これに対し政府は,「国民の知る権利に資する報道または取材の自由に十分配慮しなければならない旨を定めている」とするが,「配慮」は努力規定に過ぎず,知る権利が担保されているわけではない。「安しい全保障」の名が付けば,国が恣意的に重要情報をいんぺい隠蔽できる恐れがある同法の施行によって,権力がけねん暴走を始めないか懸念される。●外国の秘密保護制度アメリカイギリスドイツ法令スパイ防止法公務秘密法刑法罰則最高で禁錮10年最高で禁錮2年最高で禁錮5年機密期間最長25年で原則自動解除原則20年原則30年チェック機関国立公文書館情報保全監察局に機密解除請求権議会情報安全保障委員会が情報開示を強制ねん念▲の法手案続概き要はの強公引表だかったら。3ヵ月。国会審議議会監督委員会に情報開示請求権第1編現代の政治