ブックタイトル資料政経
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高校政治経済資料集
賛成1定住外国人の地方参政権が否定されている現状は重大な差別であり,人権侵害である。2日本の社会の構成員を,「国民=日本国籍保有者」主体から「住民=居住者」主体へと考えを転じることによって,より豊かな社会が生まれる。憲法93条2項にも,地方自治体レベルの選挙は「その地方公共団体の住民」が行うと書かれている。3在日韓国・朝鮮人は日本に強制連行されてきた人やその子孫だから,日本は参政権を与える義務と責任がある。4定住外国人も税金を払い日本人同様に生活しているから,地域行政に意思を反映させるのは当然の権利である。5定住外国人に参政権を付与するのはヨーロッパ諸国の一般的傾向である。6最高裁判決でも,地方参政権付与は憲法上禁止されていない。国会で立法すればよい。おもな論点主張1参政権と国籍は一体ではないどこの国籍であれ,納税などの義務を果たし,日本人と同じように暮らしている人々に,地域のさまざまな問題についての発言権を与えるのは当然のことだ。……国際的にも,参政権と国籍の関係を柔軟にとらえる考え方が広がっている。北欧諸国は80年代前後に,定住外国人への地方参政権を認めた。欧州連合(EU)各国は原則的に,加盟国の国民ならばどこに住もうと地方参政権を与えている。その権利を定住外国人に広げる動きがある。韓国も法整備を検討している。……永住外国人に選挙権を認めることは,地方自治の理念に沿うだけでなく,国際社会の中で日本が生きる道にもかなうだろう。(社説『朝日新聞』2000. 2. 12)主張2基本的人権としての地方参政権定住外国人に対する地方参政権の保障は,まず第一に外国人市民の人権問題である。地方参政権が否定されている現状は重大な差別であり,人権侵害である。人間は,地域社会の共同管理に参加して生活を自己統治する権利を持ち,そうした権利がたまたま国境を越えて生活の本拠を移動させた場合に消滅するというのは非合理である。(江橋崇氏の文『イミダス』97)主張3地方参政権は「住民」のもの地方参政権を外国人に開放することは,決して「国民国家」と矛盾するものではありません。むしろ,国民国家のもとにおいても,社会構成員となっている外国人に地方参政権を開放することは,それをより豊かな「ともに生きる社会」に発展させることだと考えるべきではないでしょうか。旧来の国民国家観にとらわれるのではなく,これからは「住民(居住者)」という視点に立つ,という発想の転換が求められているのです。(田中宏『Q&A外国人の地方参政権』五月書房)第5節新しい人権? 147反対?国家とは政治的運命共同体であり,国家の運命に責任を持ちえない外国人に国の舵取りは任せられない。?「国政と地方行政は別」という主張もあるが,地方自治体の予算,政策は国と連動しており,また自治体の判断が国の統治権や国民の安全に直接関わることもあるなど,地方政治は国政と密接につながっている。?納税は参政権のための条件ではなく,行政サービスやインフラ利用への対価である。?どうしても,日本の参政権を取得する必要があるのなら日本に帰化すればよいはずである。逆に言えば,帰化するほどの意思がなければ日本の参政権を取得する資格はない。?最高裁判決の地方参政権付与に関する部分は,あくまで「傍論」つまり判決の結論とは直接関係のない,単なる裁判所の意見表明にすぎず,判例としての効力は持たない。主張4国籍こそ主権国家の基本参政権は,その国の進む方向を決める政策決定に責任を負う。国家間の問題が複雑・多様化する中で,わが国と運命を共有する責任のない外国人に国の舵とりをまかせることは,国の主体性の放棄につながる。国籍をもつ国民による運営が主権国家の基本である。(主張『産経新聞』1999. 10. 4)主張5納税は経済活動の対価納税の義務は世界中で収入のある人には課せられている。収入はあるが外国人だから税を免除するという国が,どこにあろうか。開かれた国のアメリカでさえ,納税では参政権は得られない。グリーンカードと呼ばれる永住権を与えられた人々でさえ,納税の義務はあっても選挙権はない。永住権は単にそこに住む権利であり,アメリカ人であると認めたものではないからだ。アメリカ人として政治に参加するには,国籍の取得が必要だ。納税は道路や水道や教育や治安等の行政サービスの対価である。納税が選挙権に結びつくことはない。(櫻井よし子『日本の危機2』)主張6どちらの国益を図るのか北朝鮮だけでなく韓国でも在日韓国人の被選挙権は認められており,過去に何人かの国会議員が出ている。だからもし在日韓国・朝鮮人に地方参政権が認められるならば,北朝鮮や韓国の国会議員が東京都知事選に出馬するということも起こりうるのだ。(西岡力氏の文『正論』1995. 11)第1編現代の政治