ブックタイトル資料政経
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高校政治経済資料集
140 ?第2章日本国憲法の基本的性格1新しい人権●1●新しい人権の一覧第13条〔個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉〕すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。その意味社会的背景問題点第1編現代の政治知る権利アクセス権「公衆がその必要とする情報を自由に入手できる権利」。憲法21条の表現の自由を表現の受け手の側からとらえたもので,表現の自由に本来含まれている知る権利と関連して提唱されるようになった。マスメディアへの「接近(アクセス)の権利」のこと。意見広告や反論記事の掲載,紙面・番組への参加といった方法があるプ「ひとりで放っておかれる権利」ラまたは「私生活をみだりに公開イバされない権利」と解されてきたシが,最近では,「自己に関する情ー報をコントロールする権利」とのとらえ,人格的諸利益の総体と権して理解されている。憲法の幸利福追求権(第13条)を主要な根拠としている自己決定権環境権平和的生存権他からの干渉・介入を受けずに個人の人格にかかわる重要な事項を自分自身で決定できる権利。髪型や服装を決定する権利,子どもを産む・産まないを決定する権利,医療における患者の治療拒否権など多岐にわたる「市民がよい環境を享受する権利」健康で快適な人間らしい生活を営むのに不可欠な環境を維持し,その破壊を阻止するため,幸福追求権や生存権(25条)に基づいて主張されてきた人々が「平和のうちに生存する権利」。平和の確保が,すべての人権保障の前提であるとの認識に立って,憲法前文の文言に基づいて主張されてきた国家機関がさまざまな情報を集中的に管理する今日においては,国民は国から一方的に発信された情報の受け手でしかなくなってしまうことが多い。主権者である国民の政治参加を実効的なものとするためには,国民が国政に関する情報などを自由に入手できることが必要不可欠となるマスメディアが情報の送り手の立場を独占する現代において,もっぱら情報の受け手の地位に立たされている一般国民が,マスメディアに登場する機会を得,討論の場への直接的な参加を要求するようになった今日の情報化社会においては,個人の私事の暴露を売り物にしたり,コンピュータ利用で集積された個人情報が本人の知らないうちに悪用されたりするおそれが強まってきた医療現場における患者の権利(治療についての最終的な判断を患者自身がくだす権利)として1960?70年代に欧米で確立してきた権利であり,わが国では,憲法13条の「個人の尊重」を根拠として主張されている高度成長期に公害問題が深刻化し,環境の汚染・破壊が進み,生命と健康の被害が各地に発生した。こうした事態を背景に,1970年前後に提唱され,この権利をよりどころに,公害の被害者が,公害排除を求めて訴訟を起こした核戦争による人類絶滅の危機に直面している現代において,戦争の惨禍,さらには恐怖と欠乏から免かれ,安全と生存を確保することが切実な問題となった情報公開制は,政府などの公的機関の保有する公文書などの情報の開示であるが,国家機密との関係が問題となる。また,政府の入手した私的情報(個人や私的企業の情報)の開示が,企業秘密やプライバシーとの関係で問題となる私企業形態をとるマスメディアにアクセス権を認めることを義務づけることが可能かどうか一般に個人の情報の収集・伝達・利用に関する管理・規制が求められると同時に,行政による個人についての情報の使用・管理についても個人情報保護の観点からの法的規制の必要性が指摘されている自己を強調することよりも,家族や会社など,その個人が属する人間関係を重視する傾向のあるわが国において,今後のあり方が注目される環境を自然的環境に限定するのか,文化的環境まで含めるのか,具体的な被害が出ていない段階でも,差止め請求ができるのか,などに問題がある。裁判ではまだ環境権の考え方は認められていないこの権利の主体は国家か国民か,また権利の性質や内容も定説がなく,生成しつつある権利といえる。裁判では長沼ナイキ基地訴訟一審では認めたが,二審では否定された資料を読む新しい人権の登場新しい人権が主張されるようになった背景はさまざまであるが,一つには,高度経済成長の進展にともなう公害や環境破壊の深刻化,情報化の進展による個人生活の平穏に対する危惧などのさまざまな社会的な問題がある。他の一つとして,憲法の基本的価値原理である個人の尊厳に基づき,多様な要求を権利として主張する市民の権利意識の高揚があげられる。新しい人権として主張されているものは上記のほか,眺望権,嫌煙権,日照権,静穏権など多数にのぼり,これらの権利の多くが根拠としている憲法13条の「幸福追求権」は,裁判上の救済を受けることができる具体的権利として認められつつあるが,最高裁が認めたものはプライバシーの権利だけである(1)。