ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

8 ?――政治・経済便覧第1章天皇〔天皇の地位・国民主権〕しょうちょう第1条天皇は,日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて,もとづこの地位は,主権の存する日本国民の総意に基こういせしゅうけいしょうく。〔皇位の世襲と継承せ〕しゅうこうしつてんぱん第2条皇位は,世襲のものであつて,国会の議決した皇室典範の定めるところにより,これを継承する。用語解説第2条世襲子が親の地位・財産などを代々受けつぐこと。せっ皇室典範皇位継承,皇族,摂しょう政などについて定めた法律(1947年制定)。明治憲法時代の皇室典範は,憲法と並ぶ最高法規であった。憲法を読む・2天皇の地位と国民主権(第1条)日本国憲法は,前文で「主権が国民に存することを宣言し」,第1条で天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基づく」と規定して国民主権下の天皇制であることを明らかにした。明治憲法は天皇が統治権のそうらんしゃ総攬者であることを規定していた。したがって明治憲法から日本国憲法への変更にともない,主権者の変更すこくたいなわち国体の変更が行われた。金森徳次郎国務大臣は天皇は明治憲法でも日本国憲法でもあこがれの中心とであると「あこがれ国体」論を述べて国体の不変更を説すめらわてんじょうむきゅうこうぼしたがかんながらほうそいたが,「皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ宝祚ヲしんちょく承継」(明治憲法告文)した皇祖神の神勅に基づく天皇から「日本国民の総意に基づく」の天皇へ,その地位が根本的に変化したことは明らかである。憲法は天皇を日本国および日本国民統合の象徴であると定めている(象徴天皇制)。象徴とは,無形の抽象的観念を表現する具体的な物または人を意味する。たとえば,白い鳩は平和の象徴であるとか,ペンは学問の象徴であるとか言われる。そこで,日本国の象徴とは,政治団体としての国家である日本国を天皇が象徴することを意味する。すなわち,対外的な面で天皇が日本国を表現することである。また日本国民統合の象徴とは,対内的に日本の構成員である日本国民の一体性を天皇が表現することを意味する。また,天皇の地位が「日本国民の総意に基づく」とは,憲法改正によれば天皇制の廃止も可能ということを意味する。さて,天皇主権から国民主権下の天皇への変更は,天皇の権能にも大きな変化をもたらした。すなわち天皇は憲法が定める「国事に関する行為」のみを行い,「国政に関する権能」を有しない(第4条1項)とされ,しかも,国事に関するすべての行為(国事行為)には,「内閣の助言と承認」が必要とされる(第3条)こととなった。つまり,天皇は,自らの意思で直接国政に影響を与えるような行為を否定されたのである。そのため,天皇や皇族には選挙権も認められていない。また,天皇主権から国民の総意に基づく天皇への変更は,その他の面でも変化をもたらした。まず,皇位のこうしつてんぱん継承など皇室の内部事項を規定した皇室典範は,明治憲法時代には,憲法と同格とされ(憲法の二元性),しかもその改正に帝国議会は関与できなかったが,日本国憲法下では国会が制定する法律となり(第2条),皇室を国会の民主的統制の下におくことにした。また,皇室の経費についても,明治憲法では増額するとき以外帝国議会の協賛を必要としなかったが,日本国憲法でへは毎年予算に計上して国会の議決を経ることを必要とする(第88条)とともに,第8条で皇室の財産授受を国会の議決に基づく必要があるとし,財政面で皇室を国会の民主的統制の下においた。さらにまた,日本国憲法は,天皇にも他の公務員と同様に,憲法尊重擁護義務を負わせた(第99条)。憲法を読む・3皇位の継承(第2条)こうとう皇位とは天皇の法的地位をいい,皇統(天皇の血統)つに属するものでなければ皇位に即くことができない。つ皇位の継承とは天皇の法的地位を継ぐことをいう。せしゅう皇位の継承については世襲以外に憲法に規定はなく,ゆだ具体的には法律としての皇室典範に委ねられ,「皇統に属する男系の男子」(第1条)が皇位を継承する。なお,1979(昭和54)年に「元号法」が制定され,皇位の継承があった場合に限り,政令で元号が定められることになった。また,皇位継承の順序の変更や皇族の婚姻など皇室の重要事項について審議・議決するために,皇室典範によって,内閣総理大臣,両院議長,最高裁もう長官などで構成される皇室会議が設けられている。●皇室典範第1条〔資格〕皇位は,皇統に属する男系の男子が,これを継承する。第2条〔順序〕1皇位は,左の順序により,皇族に,これを伝える。1皇長子4皇次子及びその子孫2皇長孫5その他の皇子3その他の皇長子の子孫ほうこうし第4条〔即位〕天皇が崩じたときは,皇嗣が直ちに即位する。