ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

第1編現代の政治126 ?第2章日本国憲法の基本的性格●6●アイヌ民族差別ど1北海道旧土じん人保護法〔1899(明32).3公布1997廃止〕第1条北海道旧土人ニシテ農業ニ従事スル者又ハ従事セムト欲スル者ニハ1戸ニ付土地1万5千坪以内ヲ限リ無償下付スルコトヲ得よ第2条1前条ニ依リ下付シタル土地ノ所有権ハ左ノ制限ニ従フヘキモノトスよ1相続ニ因ルノ外譲渡スコトヲ得ス2質権抵当権地上権又ハ永小作権ヲ設定スルコトヲ得ス(以下3,4略)(杉原泰雄『資料で読む日本国憲法・上』岩波書店)2「アイヌ民族に関する法律案」〔1984.5.27,北海道ウタリ協会総会採択〕前文この法律は,日本国に固有の文化を持ったアイヌ民族が存在することを認め,日本国憲法のもとに民族の誇りが尊重され,民族の権利が保障されることを目的とする。本法を制定する理由……アイヌ民族問題は,日本の近代国家への成立過程においてひきおこされた恥ずべき歴史的所産であり,日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる重要な課題をはらんでいる。このような事態を解決することは政府の責任であり,全国民的な課題であるとの認識から,ここに屈辱的なアイヌ民族差別法である北海道旧土人保護法を廃止し,新たにアイヌ民族に関する法律を制定するものである。……第一基本的人権アイヌ民族は多年にわたる有形無形の人種的差別によって教育,社会,経済などの諸分野における基本的人権を著しくそこなわれてきたのである。このことにかんがみ,アイヌ民族に関する法律は,アイヌ民族にたいする差別の絶滅を基本理念とする。3アイヌ新法〔1997(平9).5法52〕(アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律)第1条〔目的〕この法律は,アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化が置かれている状況にかんがみ,アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する国民に対する知識の普及及び啓発を図るための施策を推進することにより,アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図り,あわせてわが国の多様な文化の発展に寄与することを目的とする。スポット「先住民に関する国連作業部会」(スイス)に出席した野村義一北海道ウタリ協会理事長(1987年)▲アイヌの先住民族認定へ??初の国会決議アイヌ民族を先住民族と認定するよう政府に求める初の国会決議が全会一致で採択された。これを受けて同日,政府は「アイヌ民族は先住民族であるとの認識」を示す官房長官談話を発表した。アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議(要旨)2008年6月6日我が国が近代化する過程において,多数のアイヌの人々が,法的には等しく国民でありながらも差別され,貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を,私たちは厳粛に受け止めなければならない。政府は次の施策を早急に講じるべきである。1.政府は,「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を踏まえ,アイヌの人々を日本列島北部周辺,とりわけ北海道に先住し,独自の言語,宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること。2.政府は,「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されたことを機に,同宣言における関連条項を参照しつつ,高いレベルで有識者の意見を聴きながら,これまでのアイヌ政策をさらに推進し,総合的な施策の確立に取り組むこと。右決議する。この決議は長年にわたって「先住民族」であることを主張してきたアイヌ民族の運動の成果である。しかし,この決議文には,原案にあった「アイヌの人々が労働力として拘束,収奪されたため,その社会や文化の破壊が進み,また,いわゆる『同化政策』により伝統的な生活が制限,禁止されることで受けた打撃は大きく……」という部分はカットされている。資料を読む新法は制定されたが北海道のアイヌに対する和人の侵略は古くからあったが,1599年松前藩の支配から本格化する。明治維新後に制定された北海道旧土人保護法は,アイヌ民族を和人に同化させ,差別を押しつけるものであった。1997年に制定されたアイヌ新法は,文化振興をおもな目的とし,「先住性」は明記されなかった(6)。進む法整備第二次大戦前の日本女性は,政治的にも社会的にも低い地位に置かれていたが,戦後の一連の改革(1)は女性差別撤廃を大きく進めた。女子差別撤廃条約(1981発効,85日本批准)の成立を契機に,国籍法の改正(2)や男女雇用機会均等法(?p.340),男女共同参画社会基本法(3)の制定などの法整備が行われてきた(7)。