ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

122 ?第2章日本国憲法の基本的性格事例研究法の下の平等(遺産相続の格差規定)婚外子の相続格差は違憲こんがいし事実婚など法律上の結婚をしていない男女間に生まれた婚外子の遺産相続分が,結婚した夫ちゃくしゅつし婦の子(嫡出子)の半分と定めた民法の規定について,最高裁判所大法廷は「憲法第14条もとが保障する法の下の平等に反する」として,規定を違憲とする初判断を示した(平成25年9月4日)。これを受け,国会は民法を改正し,この規定を削除した(? p . 1 7 5)。第1編これまでは現民法900条4号の,「子,直系尊属又は兄弟姉代の妹が数人あるときは,各自の相続分は,相等しいも政のとする。ただし,嫡出でない子(婚外子)の相続分治は,嫡出である子の相続分の二分の一とし,……」もんごんのただし書きの文言が婚外子の相続格差を規定してきた。この規定は家制度が色濃い明治時代,1898年施行の旧民法に盛り込まれ,第二次世界大戦後の1947年の民法改正でも引き継がれた。日本国憲法は第14条1項で「法の下の平等」を定めたが,日本では法律婚を尊重して一夫一婦制を守り,家族の結びつきを重んじる考え方が根強く,相続格差の規定は残された。一方,欧米諸国では1960年代以降,相続の平等化が進んだ。アメリカ,イギリス,ドイツ,フランスが法律を改正して婚外子と嫡出子の相続分を同等化した。婚姻届を出さない事実婚が多い各国では,婚外子の割合は増加していてフランスやノルウェーでは50%を超えている。また,国連の人権機関からは1993年以降繰り返し相続格差をなくすよう勧告を受けてきた。最高裁初判断婚外子の格差をめぐる裁判では,最高裁は1995◆婚外子をめぐる内閣府世論調査の推移●相続格差相続できる金額をわからない同じにすべきだ現在の制度を変えない方が良い平成8年どちらともいえない38.7% 25.0 30.8 5.6◆各国の婚外子の割合フランスノルウェー英国米国ドイツイタリア23%日本2.2%47%41%34%56%55%※いずれも2011年の出生数における婚外子の割合。米国は疾病対策予防センター(CDC)の,その他の国はユーロスタットの統計。日本は厚生労働省の統計から?2009年に大法廷で1件,小法廷では5件の判きんさ断を下し,いずれも相続格差の規定を僅差ではあったが合憲としてきた。今回の大法廷の決定では,婚外子の出生数や離婚・再婚件数の増加など「婚姻,家族の在り方に対する国民意識の多様化が大きく進んだ」とし,諸外国が婚外子の相続格差を撤廃していることに加え,国内でも住民票や戸籍の続柄欄で婚外子と嫡出子の記載が統一されたことや1996年に法務大臣の諮問機関である法制審議会が相続分の同等化を盛り込んだ改正要綱を答申していることなどにも着目し,「個人の尊重が明確に意識されてきた」と国民の意識に変化があったことを強調している。また,混乱を避けるために,すでに決着済みの同種事案には「この違憲判断は影響を及ぼさない」と決定の効力の範囲を明確にする異例の言及を行った。●法律上の不利益な取り扱いやむを得ないしてはならない平成8年わからないどちらともいえない54.5% 21.9 20.4 3.218年41.1% 24.5 31.2 3.218年58.3% 18.5 21.0 2.224年35.6% 25.8 34.8 3.824年60.8% 15.4 21.2 2.5