ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

4平等権●1●法の下の平等●関連憲法条文第1 4条〔法の下の平等,貴族の禁止,栄典〕1すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。2華族その他の貴族の制度は,これを認めない。3栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。1平等と差別差別の必要民主主義許される差別許されない差別民主主義と両立する差別反民主的差別各種の合理的差別栄典432 1勲世業禁公止選条章襲務止務挙例そな上員犯にのき犯ののよ他特罪政選るの権の治挙差栄な加的権別典き重行等栄規為の誉定の停信条による差別「うまれ」の差別世人宗族的人界生教を身種観観的認分・・信め・性主仰る華別義な族・どそ家のの柄差他・別の社貴会(『口語六法全書』自由国民社)資料を読む形式的平等と実質的平等平等権は自由権と並んで近代憲法の大原則とされる。ただ,自由と平等とは,ときに互いに対立する関係に立つことがある。性別,年齢,能力などに差がある以上,各人の自由を尊重すれば実際上は不平等が生ずるからであり,あえて,この不平等を是正しようとすれば各人の自由を制限せざるを得ないことになる。そこで,平等とは形式的平等でなく実質的平等でなければならないという考えがでてくる。すなわち,法の下の平等の原理は,機械的にあらゆる法的な差別を禁止する趣旨ではなく,民主主義の理念に照らして不合理と考えられる差別を禁止するのである。生来の権利である自由権に,年齢や性別による差別があってはならないが,例えば公務員の政治的行為の禁止は民主主義的合理性の面から許されるのである(1)。第4節基本的人権の保障? 1212判例尊属殺人事件??尊属殺人重罰事件と法の下の平等【事件の概要】A子(34)は,14歳のときから実父から不倫の関係をし強いられ,5人の子どもを生んだ。その後,A子が勤め先の青年と結婚したいと話したところ,狂った実父が10なんきん日間もA子を軟禁状態にするなどしたため,思い余ったでいすいこうさつA子は,泥酔中の実父を絞殺し,自首した。A子は,刑法200条の尊属殺で起訴され,第一審は,刑法200条を違憲とした上で刑法199条の殺人罪を適用したが,過剰防衛を認めて刑を免除した。しかし,控くつがえ訴審は一審判決を覆し200条を適用して,刑法上許される最大限の減軽を加えて3年6月の実刑判決を下した。被告弁護人は,刑法200条の違憲を主張して上告した。<参考条文>(第200条は1995年の刑法改正で削除)刑法第1 9 9条〔殺人〕人ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ3年以上ノ懲役ニ処ス第200条〔尊属殺〕自己又ハ配偶者ノ直系尊属ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ処ス(注)尊属とは,ある人からみて血縁関係において,上の世代にある者。すなわち祖父母,父母,おじ,おばなどをいう。【最高裁(大法廷)判決の要旨】(1973.4.4)「(尊属殺に関する)刑法200条の法定刑は死刑および無期懲役のみであって,普通殺人罪に関する同法199条の法定刑が3年以上の有期懲役刑をきわめも含んでいるのとくらべて,刑の選択の範囲が極しゃくりょうて重い刑に限られており,……いかに酌量すべき情状があっても法律上刑の執行を猶予することができないなどの問題がある。……そこで,刑法200条は,その法定刑が死刑および無期懲役に限られている点において不合理な差別を設けるものであって,憲法第14条1項に違反し,無効である」として,普通殺人罪を適用した。これに対し,違憲の結論に賛成しながらも「刑法200条が尊属殺人と普通殺人と区別しているのは,いわゆる『家族制度』と深い関連をもっており,一種の身分制道徳の見地に立つもので,個人の尊厳とりっきゃく人格の平等に立脚する民主主義の理念にそむく…」と,理由を異にする意見もあった。尊属殺重罰規定は違憲最高裁は1950年10月の大法廷判決では「夫婦,親子,兄弟等の関係を支配する道徳は,人倫の大本……人類不変の道徳原理」として,尊属殺重罰規定は法の下の平等に違反しないとしていた。1973年の実父殺しの判決は50年判例を変更したものであり,最高裁が特定の法律規定を初めて明示的に違憲と判断したことで名高い(2)。この判決の違憲論拠は,罰則が厳しすぎ実務的にみても不合理であるというところにあり,道徳的な立場からのものではない。なお,刑法200条は,最高裁で合憲とされていた尊属傷害致死罪(205条2項)とともに適用されることはなかったが,1995年の刑法改正で削除された。第1編現代の政治