ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

第1編現代の政治120 ?第2章日本国憲法の基本的性格3自由権的基本権3??経済の自由●関連憲法条文第22条〔居住・移転及び職業選択の自由,外国移住及び国籍離脱の自由〕1何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。2何人も,外国に移住し,又は国籍を離脱する自由を侵されない。第29条〔財産権〕1財産権は,これを侵してはならない。2財産権の内容は,公共の福祉に適合するやうに,法律でこれを定める。3私有財産は,正当な補償の下に,これを公共のために用ひることができる。1判例薬事法違憲訴訟??薬局設置の距離制限と職業選択の自由【事件の概要】1963(昭和38)年,原告は薬局を開設しようとして,薬事法に基づいて広島県知事に許可を求めたが,薬局配置法基準(距離制限)に適合しないとして不許可となった。そこで,原告は,薬局開設に距離制限を設ける薬事法および県条例は,憲法22条1項に違反するとして不許可処分の取り消しを求めた。一審では原告勝訴,控訴審では原告が敗訴した。*薬事法には,薬局の設置場所が配置の適正を欠くと認められる場合は薬局開設の許可を与えないことができる(6条2項)。その配置の基準は都道府県の条例で定める(6条4項)と規定されていた。【最高裁(大法廷)判決の要旨】(1975.4.30)薬事法の目的は,薬局等の偏在,競争の激化によって,一部薬局等の経営が不安定化し,それによって不良医薬品の供給の危険等の弊害が生じることを防止することであり,国民の生命および健康に対する危険の防止という,消極的,警察的目的のための規制措置(消極目的規制)である。薬事法では,距離制限をしないと,以下のようになると主張する。薬局などの偏在(隣との距離が近いなど)→競争の激化→一部薬局等の経営の不安定→不良資料を読む薬局の距離制限は違憲日本国憲法は自由権のなかで,「職業選択の自由」と「財産権」については「公共の福祉」による制限があることをとくに規定している。医師,薬剤師,検事・判事などの職業には一定の資格が必要であり,この限りでは職業選択の自由を制限しているとも医薬品の供給が起こる→国民の生命および健康に危険がおよぶ判決はこの因果関係を,合理的に裏付けることができないと否定し,規制の目的は許可制ではなく,行政上の取り締まりの強化など他の方法によっても十分に達成することができ,薬事法による規制については,全体としてその必要性と合理性を肯定することはできず,憲法22条1項に違反する2土地収用法(抄)〔昭26.6法342最終改正平6法84〕第1条〔目的〕この法律は,公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し,その要件,手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し,公共の利益の増進と私有か財産との調整を図り,もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。第2条〔土地の収用又は使用〕公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において,その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは,この法律の定めるところにより,これを収用し,又は使用することができる。第68条〔損失を補償すべき者〕土地を収用し,又よは使用することに因って土地所有者及び関係人が受ける損失は,起業者が補償しなければならない。3財産権の補償と制限国内閣行政機関会公共の福祉法律命規令則法律の定めによる自由競争公共利用契約自由私有財産収用正当補償いえるが,これらは,人の生命・財産や社会公共の秩序に関わるもので,これにとくに資格を要求することは合理的な規制といえる。これに対して薬局の距離制限は他の代替手段でも目的は達成できると判断されたのである(1)。土地収用法(2)は,憲法29条3項の規定を受けて定められた。