ブックタイトル資料政経
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高校政治経済資料集
●5●信教の自由●関連憲法条文第20条〔信教の自由,国の宗教活動の禁止〕1信教の自由は,何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も,国から特権を受け,又は政治上の権力を行使してはならない。2何人も宗教上の行為,祝典,儀式又は行事に参加することを強制されない。3国及びその機関は,宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。じ1判例津地【事件の概要】ちん鎮さい祭訴訟??神式地鎮祭と政教分離の原則1965(昭和40)年1月,三重県津市は,市立体育館じちんさいの起工式において神式にのっとって地鎮祭を行い,市はくもつ神官への謝礼・供物代金などの費用7,663円を市の予算から支出した。これに対して同市のS市議は,この支出が憲法20条・89条に違反するとし,地方自治法242条の2に基づき市長に対して,支出金額の賠償を求めて提訴した(住民訴訟)。【裁判の経過】しゅうぞく一審の津地裁は,神式地鎮祭を「習俗」と認めて合憲の判断を示したが,二審の名古屋高裁は,神式地鎮祭を「宗教的行為」と認定,政教分離条項について,「信教の自由を完全に保障するためのものであり,公機関に対しては儀式,行事を含む一切の宗教的行為が禁止されている」として違憲の判断を下した。【最高裁(大法廷)判決の要旨】(1977. 7. 13)ざっきょせい「わが国においては宗教意識の雑居性が認められ,国民一般の宗教的関心度は必ずしも高いものとはいいさいしぎれいがたい。神社神道においては祭祀儀礼に専念し,他の宗教にみられる積極的な布教・伝道のような対外活動がほとんど行われることがないという特色がみられる。……建築工事現場において神社神道固有の祭祀儀礼のっとに則って,起工式が行われたとしても……これにより神道を援助,助長,促進するような効果をもたらすことになるものとも認められない。……本件起工式は,……社もっぱ会の一般的慣習に従った儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ,……憲法20条3項により禁止される宗教的活動にはあたらない」として,二審の違憲判決を破棄した。なお,この判決には,「地鎮祭は宗教活動に該当し,違憲である」とする5名の裁判官の反対意見がある。2政教分離をめぐる主な訴訟訴訟名じちんさい1津地鎮祭訴訟ごうし2自衛官合祀訴訟みのおちゅうこんひ3箕面忠魂碑訴訟4慰霊祭訴訟10大分大嘗祭参列訴訟第4節基本的人権の保障? 1171審●合憲(’67・3)○違憲(’79・3)○違憲(’82・3)○実質違憲(’83・3)●合憲●合憲●合憲5箕面市遺族会補助金訴訟(’88・10)(’94・7)(’99・10)●合憲●合憲●合憲6大阪地蔵訴訟(’86・5)(’91・3)(’92・11)たまぐしりょう●合憲○違憲7岩手靖国・玉串料訴訟(’87・3)(’91・1)(上告できず)*○違憲●合憲○違憲8愛媛玉串料訴訟(’89・3)(’92・5)(’97・4)9大阪靖国訴訟●判断せず○実質違憲─(’89・11)(’92・7)11大阪靖国訴訟12九州・山口靖国訴訟13大阪靖国訴訟そらちぶとだいじょうさい14空知太神社訴訟●合憲(’94・6)●判断せず(’04・2)○違憲(’04・4)●判断せず(’04・5)(カッコ内は年・月)2審○違憲(’71・5)○違憲(’82・6)●合憲(’87・7)●合憲(’98・9)●判断せず(’05・7)*(上訴できず)○違憲(’05・9)○違憲○違憲(’06・3)(’07・6)○は原告勝訴または実質勝訴,△は原告側一部勝訴,●は原告側敗訴*違憲判決だったが被告勝訴のために被告は上訴できず【争われた行為】1左記じゅんしょくごこくごうし2殉職自衛官を護国神社へ合祀する行為に自衛隊職員が関与みのおちゅうこんひ3箕面市が学校を広げるため忠魂碑を公費で移設し,敷地を無償貸与4慰霊祭に教育長が参列5忠魂碑を維持・管理する遺族会への補助金支出6大阪市が市営住宅立て替えでお地蔵さんに市有地提供7岩手県が,靖国神社への玉串料の公費支出,首相らの公式参拝を求めて県議会が決議8愛媛県が,靖国神社への玉串料の公費支出9中曽根首相が靖国神社公式参拝で供花料を国費で支出だいじょうさい最高裁●合憲(’77・7)●合憲(’88・6)●合憲(’93・2)●合憲(’02・7)●判断せず(’06・6)○違憲(’10・1)10大分県知事らが天皇即位に伴う大嘗祭関連儀式に公費で参列111213小泉首相が靖国神社を参拝したことが憲法に違反し精神的苦痛を受けた14砂川市が市有地を神社の敷地として無償使用させた資料を読むゆれる政教分離原則津地鎮祭訴訟の最高裁判決は,1地鎮祭は慣習的儀礼,2宗教と国家の完全分離は不可能,3この程度は宗教的活動には含まれないとして,「国家と宗教との徹底的分離」を主張した高裁判決をしりぞけた(1)。政教分離原則を,政治と宗教の完全分離不可能とし,「目的が宗教的意義を持ち効果が特定宗教に対する援助・助長・促進または圧迫・干渉になる行為」を違憲としたこの目的効果基準はその後の訴訟でも採用されることになる(2)。─(上告できず)*第1編現代の政治