ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

4「表現の自由」の規制が争われた主な最高裁大法廷判断(「石に泳ぐ魚」事件はp . 1 4 2)第4節基本的人権の保障? 115事件事件の概要(争点)最高裁の判断D・H・ロレンスの小説『チ出版その他表現の自由は「極めて重要なものではあるが,しかしャタレー夫人の恋人』の翻チャタレー事件やはり公共の福祉によって制限されるものと認めなければならない。(1957.3.13)<性表現の規制>訳者の英文学者伊藤整と出版社社長が刑法175条(わはんぷそして性的秩序を守り,最小限度の性道徳を維持することが公共の福祉の内容をなすことについて疑問の余地がないのであるから,本わいせついせつ物頒布)違反で起訴された事件。件訳書を猥褻文書と認め,その出版を公共の福祉に反するものとした原判決は正当……。」とした。刑事裁判の証拠に使うた「……報道の自由は,表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとめ,裁判所がテレビ放送会博多駅フィルム社に,事件の模様(学生とにあることはいうまでもない。また,報道機関の報道が正しい内容をもつためには,報道の自由とともに,報道のための取材の自由も提出命令事件(1969.11.26)<取材の自由>機動隊員の衝突)を撮影したテレビフィルムを提出するよう命じたが,放送会社十分に尊重されなければならない」とした上で,しかし,「公正な刑事裁判の実現を保障するために,報道機関の取材によって得られたものが,証拠として必要と認められるような場合には,取材の自由こうむはその命令が報道の自由を侵害するとして争った。北海道知事選挙の立候補予定者Xは,政界情報誌『北方ジャーナル』に自分の名きそんがある程度の制約を蒙ることとなってもやむを得ない」とし,本件フィルム提出命令は合憲であるとした。憲法21条2項の検閲とは、「行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁ほっぽう北方ジャーナル誉を毀損する記事が掲載さ止すること」であり,今回の仮処分による事前差止めは、個別的な事件(1986.6.11)れることを知り,名誉権の侵害の予防を理由に出版のしじんかん私人間の紛争について、司法裁判所により審理判断して発せられるものであつて、「検閲」にはあたらない。また,名誉権に基づく出版はんぷ<表現の自由,出版の事前差し止め>差し止めの仮処分を裁判所に申請した。裁判所はこの申請を認めたが,今度は雑物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、その出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には原則として許されないが,その表現内容が真実でないか又もっぱ誌社側がこの差し止めは検は専ら公益を図る目的ではないことが明白で,かつ、被害者が重大こうむ閲であり違法だとして損害賠償を求めて争った。にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときに限り、今回のように例外的に許される。第1編現代の政治スポットSMAP『追っかけ本』はダメ??タレントの人格的利益を侵害ジャニーズ事務所所属のタレントの実家や自宅の住所や地図,電話番号などを記載した「追っかけ本」の出版を計画した出版社に対し,東京地裁は,出版・販売の禁止を命じる判決を言い渡した。人気グループ「SMAP」のメンバーらがプライバシーを侵害されるとして,自宅の住所や電話番号などを記載した「おっかけ本」の出版差し止めなどを求めた訴訟で,ろくさいしゃ東京地裁は23日,発行元の鹿砦社(本社兵庫県西宮市)に出版の差し止めを命じる判決を言い渡した。福田剛久裁判長は「出版は公益ではなく,追っ掛けを助長することで営利を図ることを目的としており,表現・出版の自由を考慮しても,タレントの人格的利益を侵害する違資料を読む二重の基準論表現の自由などの精神の自由は,国民が政治的意思を形成し表現するために欠かすことができない権利であり,それに対する規制(制限)の適否については経済の自由に対する規制よりも厳格な基準によって審査されるべきと考えられている(二重の基準論)。法な行為と言うほかない」との判決理由を示した。……判決によると,鹿砦社は昨年12月,追っかけの資料として,既に発売していた「ジャニーズおっかけマッしょうさいプ」などより詳細にタレントの自宅住所,地図,写真,電話番号などを記載した「ジャニーズ・ゴールド・マップ」の出版を計画した。「おっかけマップ」などの出版後,ファンが原告のタレントの自宅に押し掛け,郵便物や洗濯物がなくなったり,無言電話が相次いだりしたほか,実家前にもファンが集まるなどしていた。(『東京新聞』1997. 6. 24)(注)その後,東京高裁,最高裁(小法廷・2000年7月14日)ともに出版・販売の禁止を命じた東京地裁判決を支持する決定を言い渡した。しかし,表現の自由といえども絶対無制限ではない。その自由の行使が他人の人権や公共の福祉と衝突する場合には両者の調整が必要である(4)。博多駅フィルム提出命令事件では,最高裁の判決を受けて福岡地裁は「放映済みのテレビフィルム」に限って差し押さえた。