ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

●関連憲法条文(刑事手続の適正)第33条〔逮捕の要件〕何人も現行犯として逮捕される場合を除いては,権限を有する司法官憲かが発し,且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ,逮捕されない。第34条〔抑留及び拘禁に対する保障〕(抑留・拘禁理由の告知,拘禁理由の公開法廷での開示,弁護人に依頼する権利)第35条〔住居の不可侵〕(住居・書類・所持品についての侵入・捜索・押収に対する令状主義)第37条〔刑事被告人の権利〕じんそく(公平な裁判所の迅速な裁判,証人の出頭・審問を求める権利・弁護人依頼権)●4●身柄の拘束と刑事手続きの流れ第4節基本的人権の保障? 109第38条〔自己に不利益な供述・自白の証拠能力〕1何人も,自己に不利益な供述を強要されない。2強制,拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は,これを証拠とすることができない。3何人も,自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には,有罪とされ,又は刑罰を科せられない。そきゅういちじ事ふさいり不再理第3 9条〔遡及処罰の禁止・一〕何人も,実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については,刑事上の責任を問はれない。又,同一の犯罪について,重ねて刑事上の責任を問はれない。●5●別件逮捕第1編現代の政治○○○○○○○○○○○る刑(無事再止残さ場人唯自(弁め証(迅公な供自拷る弁げ理れな現逮権事(罪訴審虐れ合の一己護る人速平い(述己問権護ら由なけ行捕利373 371(補判訟の36)ななに自のに人権のななをにの利人れをい(れ(犯令償決法請刑いは証)依利)出公裁381強不禁に、直憲ば(白不(直を状40)をの求(罰有で拠利頼頭開判)要利止依ち法逮(34)ち除に受場435)刑の罪あが益権を裁所さ益頼に捕384372にくよけ合禁とる本な求判のれなす告33)さ))36))ら、受刑者・死刑囚被告人被疑者服上二一起勾逮告審審審留捕判判判役決決決訴刑務所刑務所(死刑囚は拘置所)裁最判高所拘置所裁高判等所注1.勾留は起訴後もつづく。注2.身柄を拘束されずに,起訴・裁判を受けることもある。法の建前はそれが原則である。注3.一審または二審に対し,上訴(控訴・上告)しないで確定することもある。裁地判方所代用監獄(警察留置場)10日*検察48時間+24時間警察留置場警察身柄の拘束釈放(起訴後は保釈・執行猶予など)差戻し判決*やむをえない場合10日の延長。内乱や国交に関する罪は,さらに5日の延長可能国民(被告人)の権利地位(佐野洋・西島勝彦『死刑か無罪か』岩波ブックレットNo. 33に加筆)資料を読む刑事手続における人権の保障第二次大戦前の刑事手続における人権侵害の経験をふまえ,日本国憲法は第31条以下で,詳細に刑事手続における人権保障の規定をもうけている(4)。総則規定である第31条を具体化して,身柄の拘束と捜索・押収などに厳格な手続きを要求し,拷問の禁止,自白の証拠能力の制限,黙秘権など,被疑者・刑事被告人・受刑者の各段階で人権の保護をはかっている。しかし現実には,違法な職務質問や所持品検査,さらに別件逮捕(5)などがしばしばみられる。手続機関拘禁場所備考別件逮捕とは,広くは,令状記載事実以外の事実の取調べを目的とする身体の拘束を意味するが,通常は,令状を請求できるほどに証拠が収集されていない重大事件(本件)について証拠(とくに自白)を得る目的で,証拠のそろっている別の軽微な事件(別件)で令状を請求しまたは現行犯逮捕する捜査の方法をいう。身体の自由の拘束による不安定な精神状態で本件についての取調べをおこない,自白を得て,本件についての捜査をさらに展開する手掛かりを得ようとするものである。「見込み捜査」の典型といってもいいであろう。捜査実務においては,裁判官の事前の審査を回避しかつ身柄拘束についての刑事訴訟法まぬが上の時間的制約を免れるために,しばしば行われているといわれる。最高裁判所は,別件逮捕を違憲・違法とはしていないが,地方裁判所の段階では,違憲・違法とする動きがみられる。(杉原泰雄『資料で読む日本国憲法・上』岩波書店)