ブックタイトル資料政経
- ページ
- 114/162
このページは siryouseikei2015 の電子ブックに掲載されている114ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは siryouseikei2015 の電子ブックに掲載されている114ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
高校政治経済資料集
108 ?第2章日本国憲法の基本的性格1自由権的基本権1??人身の自由●1●人身の自由と保障のしくみ第1編現代の政治●関連憲法条文どれいてきこうそく第1 8条〔奴隷的拘束及び苦役からの自由〕何人も,いかなる奴隷的拘束も受けない。又,犯罪による処罰の場合を除いては,その意に反する苦役に服せられない。第31条〔法定手続の保障〕何人も,法律のも定める手続によらなければ,その生命若しくは自由を奪はれ,又はその他の刑罰を科せられない。ごうもんざんぎゃくけい第3 6条〔拷問及び残虐刑の禁止〕公務員による拷問及び残虐な刑罰は,絶対にこれを禁ずる。第37条〔刑事被告人の権利〕1すべて刑事事件においては,被告人は,公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。●2●「意に反する苦役」と「残虐な刑罰」1「徴兵制」は違憲政府答弁(1980. 8. 19)「一般に,徴兵制度とは,国民をして兵役に服すかいへいる義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって,軍隊を常設し,これに要する兵員を毎年徴集し,一しんちんこうたい定期間訓練して,新陳交代させ,戦時編制の要員として備えるものをいうと理解している。このような徴兵制度は,我が憲法の下では,社会の構成員が社会生活を営むについて,公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものでないのに,兵役といわれる役務の提供を義務として課されるという点に本質があり,平時であると有事であるとを問わず,憲法第13条,第18条などの趣旨からみて,許容されるものではないと考える。」2「死刑」は残虐刑か最高裁判決(1948. 3 .12)きゅうきょく「死刑は,全刑罰中もっとも冷厳な窮極の刑罰である。しかし,憲法の第13条や第31条が死刑を想定しているところからみて,憲法は,現代の多数の文化国家と同様,死刑の存置を是認しており,ただ死刑一般が直ちに残虐刑にあたるとはいえない。しかし,他の刑罰の場合と同様,その執行方法などがその時代と環境とにおいて人道上の見地から一般的に残虐性をもつ場合に残虐刑となる。火あぶり,はりつけ,さらし首,釜ゆでなどの方法は,憲法第36条に反する(要旨)。」(杉原泰雄『資料で読む日本国憲法・上』岩波書店)奴隷的拘束公娼・私娼監獄部屋人身保護法による救助命令苦不当な刑事拘束(星野・小林『口語六法全書・憲法』一部改変自由国民社)役債務労働強制労働(兵役)労働基準法職業安定法憲法31~40条刑事訴訟法刑罰は例外令状主義国●3●刑事被告人の権利民拷問残虐刑〔保障〕判例例高田事件??迅速な裁判を受ける権利【事件の概要】みずほ約30名の被告人らは1952年6月に愛知県瑞穂警察署高田派出所等を襲撃,破壊した一連の住居侵入,放火予備,傷害等の事件で起訴されたが,うち20名は同時期に起こった大須事件の被告人でもあった。被告人らは大須事件の審理を優先して高田事件の審理を待ってほしいと要望し,取り調べは53年ないし54年の公判を最後として中断され,15年後の1969年に審理が再開された。一審では,長期の公判審理中断は異常な事態であるとする被告人の申立が認められ,公訴時効の完成の場合に準じて免訴(裁判を打ち切ること)を言い渡したが,控訴審はこれを破棄した。【最高裁(大法廷)判決の要旨】(1972.12.20)「審理の著しい遅延の結果,…被告人の諸権利が著しく害せられると認める異常な事態が生ずるに至った場合には,さらに審理をすすめても真実の発見ははなはだしく困難で,もはや公正な裁判を期待することはできず,いたずらに被告人の個人的および社会的不利益を増大させる」から,免訴という非常救済手段を用いるのが相当であるとした。資料を読むすべての人権保障の基礎人身の自由(身体の自由)は自由権の最も基礎的なものですべての近代憲法はその保障規定を設けている。日本国憲法も,奴隷的拘束からの自由と適正手続きの保障(1)を基本原則に,詳細な規定を設けている。徴兵制の違憲性や死刑制度廃止などの問題はこれらの規定と関わっている(2)。国家権力に身体の自由を拘束されている被告人に対しては,裁判において迅速さが特に求められる(3)。2003年に「裁判の迅速化に関する法律」が制定され,第一審は2年以内に終結させることなどが目標とされることとなった。