ブックタイトル資料政経
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高校政治経済資料集
●3●非核三原則●佐藤栄作内閣総理大臣「この際私どもが忘れてはならないことは,わが国の平和憲法であります。また核に対する基本的な原則であります。核は保有しない,核は製造もしない,核を持ち込まないというこの核に対する三原則,その平和憲法のもと,この核に対する三原則のもと,そのもとにおいて日本の安全はどうしたらいいのか,これが私に課せられた責任でございます。」(1967年12月衆議院予算委員会)●国会決議(非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議・1971年11月24日衆院採択)一.政府は,核兵器を持たず,作らず,持ち込じゅんしゅまさずの非核三原則を遵守するとともに,沖縄返還時に適切なる手段をもって,核が沖縄に存在しないこと,ならびに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである。●ラロック発言(退役海軍少将)とうさい私の経験では,およそ核兵器を搭載できる艦船は,核兵器を搭載しています。……もし,核兵器を搭載できるなら当然,オーバーホールや大規模な修理でないかぎり,いつでも核兵器を搭載して航行しているわけです。(1974年9月米議会委員会)●ライシャワー発言ライシャワー米ハーバード大教授(元駐日大使)は,……共同通信ワシントン支局の電話インタビューに答え,1960年の日米安保条約改定以来,米国の核兵器積載艦船が日本の領海を通過したり,日本国内の米海軍基地に寄港していたとして,米国によるわが国への「核持ち込み」があったことを認めた。さらに同教授は60年安保改定に当たって,日米両当局者間には,米国の艦船や航空機が装備または積載された核兵器を取り外さなくとも,日本の領海通過や寄港は問題とならないという「口頭了解」があった,と明言し,日本政府が核持ち込みを否定し続けてきたことを「非現実的である」と鋭く批判した。(『サンケイ新聞』1981. 5. 18)資料を読む危うい平和主義日本の安全保障の問題で大きな課題となっているのが「集団的自衛権」の問題である。国連憲章は,個別的自衛権とともに集団的自衛権を認めているが,わが国では憲法上許されないとこれまで解されてきた。しかし,中国が急速な軍拡を続け,尖閣諸島の領海や接続水域に連日,中国公船(軍艦以外の政府の船)が侵入し,北朝鮮は核・ミサイル開発を進めるなど,緊迫する東アジア情勢を踏まえて,政府はこれまでの安全保障政策を転換した(1)。また,海外への武器輸出を原則禁止してきた武器輸出三原則を撤廃し,一定の条件を満たせば輸出を認める「防衛装備移転三原則」が閣議決定された(2)。防第3節冷戦後の安全保障? 105●事前協議1960年1月調印の日米安保条約第6条(米軍による施設・区域使用)の実施に関して,両国政府が交わした交換公文で定められた制度。1米軍隊の配備における重要な変更2装備の重要な変更3日本から行われる戦闘行動のための施設・区域使用──については,日本政府との事前協議が米側に求められている。核兵器の「持ち込み」は「装備の重要な変更」に当たることが日米両国間で確認されている。ひら日米安保条約改定から三年後の1963年,大平まさよし正芳外相(当時)がライシャワー米駐日大使(同)との会談で,「日本の領海や港内の艦船上の核は持ち込みには当たらない」との見解を示し,核兵器を搭載した米艦船の寄港や領海内の通過を直接了承していたことが,米側の外交文書で明らかになった。……「条約に基づく事前協議がない限り,持ち込みはない」とする従来の政府見解を否定する内容で,今後,核持ち込みをめぐる論議を再燃させるのは必至だ。(『東京新聞』1999. 8. 1)●4●文民統制(シビリアン・コントロール)安全保障会議防衛大臣補佐官内部部局陸上自衛隊部隊内海上自衛隊部隊閣内閣総理大臣防衛大臣防衛副大臣航空自衛隊部隊事務次官統合幕僚監部統合幕僚長おお文民統制のしくみ文民防衛大臣政務官統合部隊衛装備移転三原則と集団的自衛権の行使容認の動きは,安全保障分野での日本の国際的な役割やあり方を大きく変えようとする狙いがある。また,世界で唯一の被爆国としてわが国が掲げてきた非核三原則のうち「持ち込ませず」に関しては,アメリカ側の発言などから核持ち込み疑惑が濃厚であることが従来から指摘されてきた。これに対して日本政府は「事前協議がない以上,核持ち込みはないと判断する」という答弁をくり返してきている(3)。民主主義を堅持する原則である文民統制のルールの再確認が必要な状況になっているといえる(4)。第1編現代の政治