ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

第1編104 ?第2章日本国憲法の基本的性格3問われる平和主義●1●集団的自衛権─新たな政府見解問そもそも「集団的自衛権」ってなに?答集団的自衛権とは,密接な関係にある同盟国などが武力攻撃を受けた場合,自国が直接攻撃されていなくても自らへの攻撃とみなして実力で阻止する権利のこと。1945年に発効した国連憲章でも,第51条で自国への侵害を排除する個別的自衛権とともに主権国家固有の権利として認めている。現問政府が集団的自衛権を容認したとは?代の答 1972年に田中角栄内閣が,集団的自衛権は政憲法上許されないとの判断を示し,81年には鈴治木善幸内閣が,集団的自衛権の行使は「必要最小限度の範囲を超えるもので,憲法上許されない」との政府答弁書を閣議決定し,以来この解釈が定着してきた。ところが2014年に安倍晋三内閣は,安全保障環境の変化を理由に,憲法9条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する新たな政府解釈を閣議決定した。問これからどうなるの?答自国防衛以外の目的で武力行使が可能となるが,関連法制が整備されないと具体像は見えない。これまでの憲法解釈では,「武力攻撃が発生する明白な危険が切迫」した場面でも,自衛隊は出動しても武力行使はできないとされてきたが,今後は相手の武力攻撃の有無ではなく,「国民のくつがえうむ権利が根底から覆される明白な危険」の有無が判断基準となるため,抑止力の向上につながる。従?武器使用は正当防衛・緊急避難のみ来?武力行使に該当する活動は禁止の活・国連平和維持活動(PKO)動・他国軍に対する後方支援・国際緊急援助活動?武器使用が可能に今?集団的自衛権を発動した場合は後武力行使が可能の活・国連平和維持活動(PKO)動・他国軍に対する後方支援・国際緊急援助活動・集団的自衛権行使●2●防衛装備移転三原則安倍内閣は4月1日,武器や関連技術の海外提供を原則禁止してきた武器輸出三原則を47年ぶりに全面的に見直し,輸出容認に転換する「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。武器輸出三原則は1967年に当時の佐藤栄作内閣が共産圏などへの輸出を禁じ,76年に三木武夫内閣で,すべての武器輸出を原則禁止と拡大した。その後,輸出する場合は個別に官房長官談話を出して例外を認めてきた(1983年以降,アメリカへの武器技術供与など)。一方,今回の防衛装備移転三原則では,新たに三つの条件を定めて,それに沿えば武器の輸出を認める。新原則は輸出の条件として,1国際条約の違反国などには輸出を禁止,2輸出を認める場合を限定し,重要案件は国家安全保障会議(NSC)で審議,3目的外使用や第三国への移転が行われないよう相手国に日本の事前同意を義務づける。輸出先として想定されるのは,アメリカや北大西洋条約(NATO)の加盟国などで,武器の国際共同開発や生産への参加,海上安全保障に関する装備品の輸出などが狙いとされる。●防衛装備移転三原則のポイントと問題点1紛争当事国や国連安全保障理事会決議に違反する場合は輸出(移転)を認めない2輸出を認めるのは平和貢献や日本の安全保障に資する場合に限定し,透明性を確保しつつ厳格審査を行う3輸出先による目的外使用や第三国移転は適正管理が確保される場合に限定・重要案件は国家安全保障会議(NSC)で審査し情報公開を図る「共産圏」や紛争の「恐れのある国」は消える.紛争当事国に該当する国なし都合良く解釈できる抽象的な表現で,歯止めにならない国際共同開発などの場合は,事前同意を必要としない例外あり議論の中身は非公開●日本の主な防衛関連企業(2013年度)社名防衛省との契約額主な製品1三菱重工業3,165億円ヘリコプターや戦車2三菱電機1,040ミサイル3川崎重工業948潜水艦用発電機4 NEC799野外通信システム5 IHI483哨戒機用エンジン6富士通401情報通信システム7小松製作所294戦車砲弾8東芝284レーダー9日立製作所242情報通信システム10ダイキン工業149戦車砲弾