ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

100 ?第2章日本国憲法の基本的性格1アメリカの新軍事戦略と日本●1●在外米軍のおもな駐留状況第1編現代の政治ドイツ73,500陸軍57,300空軍15,650海軍300海兵隊250地中海艦隊14,000陸軍を中心に大幅削減方針不安定の弧ディエゴガルシア(米軍基地を設置)韓国27,010陸軍空軍海軍海兵隊18,3408,050240380第1軍団司令部(フォートルイス)太平洋艦隊140,400不安定の弧アメリカ政府は,北東アジアから中東にかけての弧状の地域を,(1)大規模な軍事衝突が起こりやすい(2)力を伸ばしたい国と衰退する国が混在する(3)豊富な資源をもつ軍事的な競争相手が出現する可能性がある(4)米国の基地や中継施設の密度が他の地域とくらべ低い地帯としてみる認識を示している。日本32,800陸軍2,460空軍12,820海軍3,790海兵隊13,730グアム4,490陸軍950空軍1,690海軍1,850大西洋艦隊108,000ハワイ39,000陸軍空軍海軍海兵隊21,3004,6007,5005,600●2●同盟の再定義●3●米軍再編1990年代の米クリントン政権下で,NATOの再編と東方拡大,日米間の「安保再定義」など,冷戦構造を支えてきた軍事同盟の役割を見直すことでその存続を正当化し,ポスト冷戦期の安全保障の枠組みとする動きが進んだ。それを「同盟の再定義」と呼ぶ。ソ連消滅によって,対ソ同盟は存在理由を失い,米の軍事一極支配の確立によって,米軍の海外駐留や同盟国の軍事機能が大幅に変化したことへの対応の1つ。西欧や日本の防衛から,その領域外の紛争の対応に焦点を移し(NATOでは中東・バルカン半島,日米安保では朝鮮半島など),米軍は西欧や日本に駐留を続け,危機対応型に再編するという方向に動いた。日米間では,日米物品役務提供協定や「日米防衛協力のための指針」見直しなど、在来の同盟の枠内で日本の軍事的役割を増し軍事協力の強化を行った。それに対し,ブッシュ政権は「米軍再編」を打ち出し,またイラク戦争におけるNATOとの対立によって,米国主導の同盟の意味は新たな段階を迎えている。(『知恵蔵』2005)資料を読むすすむ米軍の再編世界的規模で軍事戦略を展開するアメリカは,近年,在外米軍の再配置をすすめている。ドイツや韓国での削減方針と並んで,在日米軍についても沖縄の五施設の全面返還(合計しても沖縄の全施設の10%程度)や海兵隊のグアム移転などが決定した(1~3)。アメリカは,冷戦時代に旧ソ連に対抗するためヨーロッパや極東(日本や韓国など)に展開してきた米軍20数万人の配備を,三分の二に減らして再編しようとしています。2001年の9.11同時多発テロを契機に,アメリカ本土の防衛を最重要視する一方で,テロなど「新たな脅威」に備えて世界のどこへでも機動的に部隊を展開していく戦略を採用したのです。在日米軍の再編については,2006年に日米政府間で最終報告が合意され,基地負担の軽減や米軍と自衛隊の一体的運用による抑止力の維持などが実施時期が明記されたロードマップ(行程表)のかたちとなっています。注目の沖縄の負担軽減策としては,普天間飛行場,那覇軍港,牧港補給地区,などを原則全面返還するとしましたが,返還時期は明記されていません。普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設と在沖縄海兵隊約8千人のグアム移転は,2014年までにおこなわれます。なお,グアム移転経費のうち5 9%にあたる6 1億ドル(約7千億円)は日本が負担することとなりました。本州では,米軍横田基地の一部空域の航空管制権が08年9月までに日本に返還されます。その他,司令部移転によって米軍と自衛隊の情報の共有化がはかられるほか,自衛隊が米軍の輸送や基地管理などをバックアップするなど,日米の軍事面での一体化がすすめられる構図となりました。