ブックタイトル資料政経

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概要

高校政治経済資料集

96 ?第2章日本国憲法の基本的性格●7●日米地位協定●多くの特典と差別的な条項・アメリカ軍が日本国内で基地の使用を許される権利(第2条)・基地返還時に元通りにして返す(原状回復)のを免除される権利(第3条)・アメリカ軍航空機・艦艇が日本の空港・港湾に出入りし使用する権利(第4条)・アメリカ軍人・家族の自由な出入国と関税・検疫および民事・刑事責任の特別扱いを受ける権第1利(第9条,第17条,第18条)編などの事項がこまかく規定されている。これらは,現いわばアメリカ軍の権利に当たる条項で,一方,地代の位協定にはつぎの条項,つまり米側の義務として政・不必要になった基地の返還義務(第2条)治・日本国の法令を尊重する義務(第16条)などもあり,遊休基地の返還に向けた検討の義務や,あるいは「低空飛行訓練」のような国内法無視を禁●8●在日米軍駐留経費3,0002,714 2,755(億円)駐留経費総額2,378※歳出ベース1,881 1,8482,0001,6801,0961,477 1,513 1,391 1,395 1,3741,000特別協定による負担0 165 4591987 90 95 2000 05 10 14年度●日本負担分防衛省思いやり以外の省庁予算負担分(’13)国有地の1,848億円384億円賃借料試算防32.6 %6.7 % 1,660億円29.1 %衛2014年度周辺予算総額省対策費5,701億円584億円の10.2 %その他の算予防衛省予算244億円民公有地の4.3 %賃借料リロケーション費11億円0.2 % 970億円17.0 %(防衛省資料)資料を読む在日米軍の権益を守る日米地位協定は1960年に締結され,米軍基地の確保・維持を目的としているが,近年その不平等性が明らかになるにつれ,改定を求める声が強まっている(7)。日米地位協定では,米軍駐留経費は基地地主の地代を除いて基地労働者の労務費,住宅経費や光熱費などは米国が負担することになっているが,じる規定も存在する……。日本国にとってこれほど重要な意味を持つ協定でありながら,しかし地位協定の知名度は安保条約とくらべ格段に低い。95年9月,沖縄で米海兵隊員による少女暴行事件のケースがそうだった。日本の警察が容疑米兵みがら三人を割り出しながら身柄を確保できない理由が,地位協定第17条5項Cに規定された,「合衆国軍隊の構成こうきん員又は軍属たる被疑者の拘禁は,その者の身柄が合衆国の手中にあるときは,日本国による公訴が提起されるまでの間,合衆国が引き続き行うものとする」*という不平等な条文がある事実を,国民の多くはそのとき初めて知り,世論の怒りがいっそう高まった事実にも現れている。17条5項Cの規定によって犯罪米兵は,現行犯逮捕以外,起訴されるまで米軍基地に“かくまわれる”かたちになる。かつてはこの特権を利用して容疑者を本国に“転属”させた例もあった。(前田哲男『在日米軍基地の収支決算』ちくま新書)*容疑者が基地外にいる時は逮捕・拘束はできる。スポット地位協定見直し??鈍い反応の日米両政府日米地位協定の改定を求める沖縄県民の声は切実だ。しかし,日米両政府は改定ではなく運用の改善で対応しようとしている。全国の米軍基地の75%が集中する沖縄では,米軍に「特権」を認める日米地位協定は,生活に直接影響する。米兵容疑者の身柄引き渡し問題はごく一部に過たとぎない。例えば環境汚染。沖縄の基地ではP C B(ポリ塩化ビフェニール)などの汚染が何度も明らかになっているが,日本の調査権すらない。99年11月,県は専門家や県幹部による調査団をドイツに派遣した。N ATO(ナトー北大西洋条約機構)軍として米軍が駐留するドイツが,こうした問題にどう対処しているか調べるためだ。つうかん「日本との違いを痛感した」と参加した専門家は話す。独米の地位協定に当たる「ボン補足協定」では,米軍の演習や基地使用には,原則としてドイツ国内法が適用される。また93年の協定改定後は,米軍側の許可も付き添いもなしにドイツ側だけで基地に立ち入れるようになった。沖縄では汚染が判明しても,米軍側の許可と付き添いがないと基地内に入れない。(『朝日新聞』2001.7.19)ベトナム戦争後,財政危機とドルの価値急落に苦しんだ米国は,日本に駐留経費分担を求めた。これに応じて政府は1978年に62億円を支出したが,以後急増して現在では「思いやり予算」のほか,地代や自治体への補助金などを含めると,日本の負担は年間5,700億円に及ぶ(8)。